あなたの顧客は誰ですか?

皆さんにもこのような経験はありませんか?

友人、夫、生まれたばかりの姪などへのプレゼントを5年前にオンラインで購入し、そのオンライン上の私のプロフィールには、未だに5年前にそのベビーブランケットの購入履歴が紐づけられたままになっているということを。

なぜそれが分かるのかと言うと、今はもうベビー用品を買う必要がないのに、ベビー家具のカタログがメールで送られ続けているからです。

さらにネット検索をする夫の話をご紹介しましょう。彼は、検索をして出てきたものが購入すべき商品なのか、買う必要のないものなのか、混乱してしまうそうです。彼はあまり買い物をする人ではありません。また、私のウェブページにリターゲティングとしてギター、アンプ、靴などの広告が表示されるため、彼がそういった状況に陥っているときはすぐにわかります。

さらに、私は10年間同じ家に住んでいるのですが、元は前の住人宛だった手紙やカタログが 「現在の住人」である自分に届けられるというパターンもあります。ちなみに、そういったカタログを通して何かを購入したことは、今のところ一度もありません。

皆さんにも、よくあることではないでしょうか。これらは、企業が保有するデータを活用できず、顧客に対して無意味な対応をしてしまった場合の一般的な例として散見されるものです。

Smart Insights社の調査によると、63%の消費者はパーソナライズ戦術が不十分なブランドからの購入をやめると回答していることがわかります。パーソナライゼーションは、ビジネスの中でどんどん複雑な要素になってきています。


現状を打破していますか?

顧客の3分の2を占める人たちが、自分たちはただの数字として扱われていると感じています。そのような中で、一人ひとりに合わせた体験を提供するにはどうすれば良いでしょうか?差別化を図る企業に求められるのは、ありきたりな体験を超えることです。現状を打破し、差別化された方法で顧客とつながることが必要なのです。

私たちは、顧客と繋がる際におけるデータの価値を本質的に理解しています。例えば、データアナリティクスを活用している世界の経営者の90%が、優れたカスタマーエクスペリエンスを提供する能力が向上したと報告しています。ドル同様、データも積極的に管理することで、最大の価値と利益をもたらすことができるのです。

これほど強い影響を持つデータについて、最後にきちんと活用方法を考えたのはいつでしょうか。キャンペーンの実施やプライバシー規制への準拠のためだけにデータを使用するのでなく、組織に対する価値を最大化するためのデータマネジメントを考える必要があるのです。


顧客データをどれだけ意図的に管理していますか?

顧客データ(パーソナライゼーションに使用されるデータ)を意図的に管理すれば、最高の利益を得ることができます。顧客データは、ロイヤルティの向上、売上の増加、生産性の向上、ビジネスプロセスの加速、M&Aの成功に役立つものです。これは、B2BとB2C(企業対顧客)のどちらの企業にも当てはまります。

しかし、顧客データは非常に厄介なものでもあります。なぜなら、顧客データは頻繁に変化するためです。移り変わりが激しいので、昨日、またはわずか5分前に真実であったことが、現在は真実ではない可能性もあるのです。

顧客データを取り扱う場合は、名前、電話番号、住所、肩書きの変更を管理する必要があります。また、スペルミスがあったり、同じ内容でも複数のスペルが存在していたり、短縮名、ニックネームで登録されている場合もあるでしょう。それぞれの顧客には、結婚、離婚、死亡、出産、昇進、解雇、雇用などさまざまな事情があります。さらに、人間関係、世帯、購買チーム、インフルエンサー、意思決定者および否定者なども把握しなければなりません。もし、データを積極的に管理していなかった場合、そのデータは不完全で不正確、かつ一貫性のないものである可能性が高いはずです。

iPhoneの連絡先リストだけを取り扱うことと比べると、これまでに挙げた情報を把握するのは非常に大変なことです。何百万人もの顧客に合わせた体験を提供し、カスタマーエクスペリエンス(CX)で差別化を図る事業に取り組む場合、気が遠くなる可能性もあります。しかし、それが成功や売り上げ拡大につながるか、あるいは業績が伸び悩むかの分かれ目になることもあります。


顧客とは誰を指すのか?

顧客を定義し、CXで差別化を図るには、ビジネスにとって何が重要なのかを明らかにする必要があります。ある企業は、まず顧客に関する200の属性を収集することから始めました。しかし、事業運営に必要なもの、カスタマーエクスペリエンスの向上、どの属性が自社の成功に貢献しているかの価値を理解するにつれ、最終的には集めた属性のうちの一部で対応することになりました。マーケティングの育成を行う場合、多くの企業は次の質問に取り組むことから始めます。

1.それは顧客なのか?

2.以前の顧客なのか?

3.既知の見込み客なのか?

4.新規の見込み客なのか?

一見、答えやすい質問に見えますが、本当にそうでしょうか?そして、これらの質問だけで十分でしょうか?カスタマーエクスペリエンスを向上させるには、すべての組織が「顧客とは誰か」という問いに自信を持って一貫して答えられるようになる必要があります。

これは簡単なことのように思えます。しかし、この質問に対する認識の共有に時間を要することが、多くのデータマネジメントの取り組みが最初から遅れる原因となっているのです。ですから、もしあなたが顧客に関するデータマネジメントの取り組みを始めようと思っているのであれば、「顧客とは誰か」という問いの答えを明確にしておく必要があります。


何を知っておくべきか?

ただ、安心していただきたいのが、その答えの定義は完全または包括的である必要はないということです。まずは、顧客に関する最小限の事柄について共通認識を得ることから始めるとよいでしょう。そのためには、会社全体のさまざまな利害関係者が次の項目をどのように考えているかを考慮する必要があります。

1.あなたの組織では、一人のお客様が複数の役割を担っていませんか?例えば医療機関では、患者、医療従事者、介護者、ボランティアなど、ひとりの人がさまざまな立場になる可能性があります。このように、様々な役割を持つ個人に対し、役割に応じてどういった異なる扱いをしますか?そもそも、異なる扱いをするべきでしょうか?

2.最後の活動はいつでしたか?小売業などの業界では、取引が最近であるほど、そして頻度が高いほど顧客である可能性も高くなります。一方で、自動車産業のように、10年以上購入がなくても顧客である場合もあります。どういった存在がより価値が高いのか、考えてみましょう。

3.顧客データには、他のデータドメインよりも多くのデータフィールドが含まれています。例えば、顧客には販売先、配送先、請求先など複数の住所がある場合があります。さらにオフィスや倉庫など、第一住所と第二住所が存在することもあります。あなたなら、どういった情報を追跡しますか?また、それがビジネスプロセスにどのような影響を与えるでしょうか?

4.インオーガニックな成長は、巨大な顧客グループとの差別化を図るチャンスです。これまでに、合併や買収を通じて新規の顧客を獲得したことはありますか?もしある場合は、その顧客についてすでに何を知っていますか?すでに知っていることと、新しいデータソースから得たことをどのように結びつければよいでしょうか?そして、不足している情報はどういったものですか?また、重要なのは、買収された企業が異なる顧客定義を持っているかどうかを確認することです。

5.ホワイトスペースがある場合は、顧客を増やしやすい状態であると言えます。それぞれの顧客について、すでに取引を行ったことがある事業部門と、そうでない事業部門が組織内に混在していませんか?その場合、後者の事業部門にとっては、相手は見込み客でしょうか?それともすでに顧客であると言えますか?また、そういった違いをどのように区別し、どのように把握すべきでしょうか。

6.顧客データは、他のどのデータドメインよりも、アプリケーションやシステムの中に存在することを考慮しましょう。ただ、アプリケーションやシステムは通常、ビジネスプロセスをサポートする目的で構築されています。そのプロセスをアプリケーションや機能間で有効にするためには、どのようなデータが必要でしょうか。また、そのデータには一貫性、完全性が備わっていますか?例えば、注文を受けることはできても、請求書は手動でなければ作成できない、という場合もあります。プロセスを実行するために必要なデータがそれぞれの場所によって異なるかどうか、確認してみましょう。

7.顧客データに関する取り組みの多くは、コンプライアンスやリスク関連が主な土台となっています。内部報告、外部報告、コンプライアンス報告やリスク管理のためには、どのような顧客データを管理または統合する必要があるでしょうか。また、子会社や世帯などの関係や、自社のビジネスに対する潜在的なリスクにさらされている資産を把握するべきでしょうか。そのデータを他の活動に使用するには、どのくらいの労力が必要だと思いますか?


顧客にとって重要な事柄のトップ3は、(1)価値、(2)顧客サービス、(3)信頼性です。企業がオファーやコミュニケーションをパーソナライズする方法は、細かく面倒なことだと思われる可能性があります。古いプロフィールが無関係なオファーにつながる場合、簡単に削除ボタンを押されてしまうのです。

マーケターやカスタマーエクスペリエンスの専門家としては、送信ボタンを押す前に、一歩立ち止まって自問することをお勧めします。私たちは顧客に求めているのは、メッセージを削除することでしょうか?顧客は、自分が企業にとって単なる数字なのか、それとも個人として扱われているのかを感じ取っています。そして、より重要なこととして考えるべきなのは、無関係なオファーを頻繁に送信している場合、私たちは顧客に何を伝えたいのかということです。

顧客のデータを管理することで、価値、顧客サービス、信頼性を提供する関係性を築くことができます。カスタマーエクスペリエンスが重視される今、一度立ち止まって、顧客を定義し、顧客データをよりよく管理する方法について考えてみましょう。


本ブログは2022年3月21日のMONICA MULLENによるWho Is Your Customer?の翻訳です。