CDO(最高データ責任者):最初の100日を終えて~パート1~

この10年間でCDO(最高データ責任者)のコミュニティは大きく変化し、それに伴って業界内での支持も高まりました。現在の最高データ責任者は、経営幹部など、組織における重役と認識されています。重要視されるポイントも、テクノロジーの効率化やコンプライアンスからデータ活用による収益化へと変化しました。

しかし、今でもCDO(最高データ責任者)の大半は、ある典型的な課題に直面しています。

CDO (最高データ責任者) は、就任から100日経つ頃には自らの役割に慣れ、利害関係者と面会して重要な戦略的ニーズを理解している段階にあります。企業におけるデータマネジメントおよびデータアナリティクスの技術的な状況について情報を得たのち、組織の成熟度を確認し、目標範囲を高いレベルで定義して資金を確保したことでしょう。

さて、次は何をすればいいでしょうか?

最初の100日を終えたCDOがすべきことは、戦略レベルから実行可能な詳細レベルに至るまで、ロードマップの実行を指示・監督することです。

この数か月の間にベストプラクティスに基づいて作成されたロードマップは、実行、配信、変更管理、ガバナンス、収益化に大きく分類することができます。CDO(最高データ責任者)は段階的に物事を進め、それぞれの分野に焦点を当てていきます。

実行へのアプローチはCDO(最高データ責任者)の世代によって異なる場合がありますが、手順は一般的に標準化されています。CDO(最高データ責任者)は、リーダーとして企業のデータマネジメントおよびデータアナリティクスチームを率いた経験値や組織全体の規模によって、第1世代・第2世代に分けられます。

第2世代のCDO(最高データ責任者)は、第1世代と比べて、いくつかの基本的なステップをより早く進めることができるかもしれません。また、CDO(最高データ責任者)の役割に対する組織の準備態勢も、迅速な適用を促すプラス要因となります。

CDO(最高データ責任者)の目標、範囲、優先順位

目標を設定する際、CDO(最高データ責任者)は北極星としての役割を担い、段階的に物事を勧められるような計画を立てる必要があります。

データおよびアナリティクス組織は、今後3年間でどのようになるのが理想的でしょうか?

たとえば、3年後にはビジネス上の意思決定が全てデータ主導になると仮定した場合、最初の1年間でどのくらいの変革を目指せばいいでしょうか。30%くらい?

この目標を設定するには、組織が変化を受け入れる準備ができていることが重要です。

まず、最初の目標を考えてみてください。

今年度に優先した課題に対処することで、目標の30%を達成できるのか?2年目は60~70%を目指すのか、それとも頑張って90%を目指すのか?

こういった意思決定は、組織の準備体制や文化に左右されるものです。

目標を設定した後でも、どこから着手するべきか悩むCDO(最高データ責任者)は大勢います。一般的には、業務ユニット間で優先順位のバランスを取りながら、段階的にMVP(Minimum Viable Product:顧客に価値を提供できる最小限のプロダクト)を設定することが行われています。

「会社第一、チーム第二、自己第三」の文化を創造し、提唱することは、組織の利益につながるMVPを作成する上で非常に重要であり、全員が共通の目標に集中するうえでも役に立ちます。

優先順位は、組織のリスク管理能力や、CDO(最高データ責任者)がビジネス利害関係者に対して、どういった方法でエンタープライズデータに注目させるかによって異なります。

CDO(最高データ責任者)の管轄範囲を確認してみましょう。


・物理的資産

レガシーデータ資産、オンプレミスのデータストアやデータレイク、クラウドネイティブデータインフラストラクチャ、エンタープライズビジネスインテリジェンス、レポート、高度な分析、データサイエンス、AI/MLモデルなど


・環境

製品、非製品、障害回復データ、バックアップ

・対象範囲

すべての事業部データ:ポリシー管理システム、製品管理システム、外部データ、内部データ、サンドボックスデータ、事業部内で管理されるサードパーティのデータ

CDO(最高データ責任者)が、関連するプロセスや社内外での消費を含む、データ環境全体に対する説明責任を負っていることは間違いありません。しかし、CDO(最高データ責任者)がいつランドスケープ全体の責任を引き受けるべきかという点については見解が分かれるところです。

それを示すのが、企業の優先順位、リスク管理能力、コンプライアンスに基づいたロードマップなのです。

・どのようなビジネス優先事項を解決するのか?

CDO(最高データ責任者)が組織内の全データニーズに責任を持てるようなロードマップを作り、それを定期的に見直し、優先順位をつけることが大切です。この取り組みにおいて発生しうるリスクや、誰がその責任を負うのかについても考えましょう。

CDO(最高データ責任者)が細かな部分まで優先順位をつける際、助言などのサポートができる存在はいるでしょうか?

監督やサポートを提供するには、上級レベルの運営委員会が必要です。


組織的な監督

経営陣が後援となって、企業全体の機能やデータ領域を取りまとめるリーダーを集めた運営委員会を設立する必要があります。この委員会は、CDO(最高データ責任者)に戦略的な優先順位付けと資金調達プロセスを提供し、組織の監督とサポートを継続して行います。

また、運営委員会には以下のような事柄も求められます。

・ビジネスや技術分野の中間管理職、主要なデータ対象分野の専門家からなるワークグループを作る。

・ワークグループが業務上の価値を定めてプロジェクト、プログラム、配信それぞれのチームに戦略的な優先順位を伝える間に、組織目標をデータイニシアチブと戦略的に整合させ、優先順位を設定するサポートを行う。

・CDO(最高データ責任者)が資金調達するためのビジネスケースとROIを支援し、実行チームと配信チームのサポート、奨励を行う。また、組織内のデータ利用者に対して、変革文化の構築に向けたデータリテラシーの推進を継続的に行う。

組織の監督に続いて、成功への重要なステップとなるのが運用モデルです。


運用モデル

CDO(最高データ責任者)に求められるのは、運用モデルと組織文化に整合性を持たせることです。成功する組織は、以下のような体制で取り組んでいます。

・戦略とアーキテクチャの監視-データアーキテクチャ、情報アーキテクチャ、統合、ガバナンス

・プログラム、計画、提供、実行と変更のコミュニケーション-CDO(最高データ責任者)のオフィス

・COE(Center of Excellence)-データエンジニアリング、高度な洞察、データサイエンス、AI/ML

・常時点灯(運用)-COE(Center of Excellence)機能に組み込み、継続的改善/継続的開発(CI/CD)を促進


一般的に、リソースは提供された専門知識に基づいて調整され、実行の標準化や一貫性のある配信を促します。

COEの形成は様々で、IT部門、組織の文化や成熟度によって異なります。代表的な例として、以下の2つが挙げられます。


・コンピテンシー-すべてのイニシアチブは、コンピテンシーセンターと連携して、方向性や提供の決定づけが行われます

・コンサルティング-COEリードがプログラム、プロジェクト、ビジネス機能に組み込まれており、すべての動作が協調して行われます

組織での監視や運用モデルが確立することで、CDO(最高データ責任者)は実行へと焦点を合わせることができます。


プログラム、計画、提供、実行、変更コミュニケーション(CDOオフィス)

堅牢な実行モデルに求められるのは、以下のような事柄です。


・MVP(Minimum Viable Product)への着目

エンタープライズデータマネジメントと分析の優先順位を取得し、それらをバックログ内のユーザーストーリーにできるだけ細かく分解するには、堅牢なプログラム構造が不可欠です。

プログラム担当者は、ビジネス、テクノロジー、データ、分析の専門知識を備え、自己組織化されたアジャイルチームまたはポッドを作ります。そしてバックログを整備し、最小の労力で得られる最大の価値に基づいて、MVPという形式で短期ロードマップと計画を作成します。

プログラム担当者は、価値のステートメントとロードマップとを結び付けるヒートマップを管理する必要があります。

さらに、外部から取り入れたものを管理し、このMVPプロセスを継続的に実行することで、企業の優先事項に合わせる作業も行います。

MVPはまた、共通の目標に焦点を合わせ、サイロ化されたイニシアチブを排除または統合します。


・コミュニケーション

プログラムマネジメントは、スポンサーである経営幹部、運営委員会、作業グループ、運営COEチーム、プロジェクトチーム間におけるコミュニケーションの触媒として、ステータス、回顧、問題、リスク、スコープ、優先度、成功事例、タイムラインなどを管理する役割を担います。

そして、プログラムマネジメントはフィードバックをリーダーからプロジェクトチームへと段階的に伝えていきます。

現在、理想的な最高データオフィスを設立する途中段階である場合、最初の100日間はプレゼンテーション「北極星に至るまで」の予告編のようなものだと考えることができます。

対象範囲、優先順位、運用モデルといった主な領域を定めることは、組織の安全な基盤作りに役立ちます。これらの領域では、リーダーシップの監督、運営モデル、予算管理、リソース管理、コミュニケーション、変更管理など、CDOの成功に最も重要な要素を網羅しています。

次回の記事では、データ戦略、ガバナンス、データの収益化、民主化について取り上げます。


本ブログは2021年11月4日のSRIDHER ARUMUGHAMによるChief Data Officers: Beyond the First 100 Days – Part 1の翻訳です。