メタデータマネジメント―企業とデータ間のギャップを解消し、データの価値を実感する

サッカーの名監督であるサー・アレックス・ファーガソン(Sir Alex Ferguson)氏の名言の一つに「引き分けのためにプレイをしたことは人生で一度もない」という言葉があります。プロサッカー史上最も成功した監督とも言われ、38個のトロフィーを獲得したファーガソン氏は、前人未到のタイトル数を保持する指導者として知られています。また、確かな目でプレーヤーを選抜し、それぞれの強みを生かして勝利へと導く監督としても有名な人物でした。

データやクラウドに投資することで、企業は顧客数や売り上げの向上をはかっています。ただし、昨今の統計によると、2021年末までに消費されるデータ量は79ゼタバイトとされており、2020年の64.2ゼタバイトから増加していることが分かります。さらに、データの全体量は今後も増えていくと予想されています。

インフラストラクチャの最新化や共にデジタルトランスフォーメーションを行うカギとなるのが「クラウド」です。クラウドを活用することで、銀行、小売業、メディア、エンタメといったビジネスの変革が行われています。これによってさまざまなやり取りが手軽に行えるようになるため、顧客の期待も高まりつつあります。ところが、デジタルトランスフォーメーションが急速に進化している一方で、データ主導の体制が整っているという組織はわずか24%です。また、調査によると、データから具体的かつ測定可能な価値を引き出せたという組織は32%にとどまりました。つまり、多くの組織が最新のビジネスに向けたイニシアチブを期待通りに実行できていないのです。

そういった状態に陥る理由は、企業と社内データの間にギャップにあります。データはすべての意思決定において中心となる存在です。そのため、データがあらゆる角度から理解されることで初めて適切な意思決定ができ、競争力のある企業となり得るのです。ただ、データの量や種類、そしてその爆発的な成長率を鑑みるに、データへの取り組みに乗り出すことは企業にとって気が重くなる作業であるとも言えます。

企業とデータの距離を近づける基本的な2つのステップ

1.データマネジメントのイニシアチブに向けた最初のステップは、形式や場所を問わずすべてのデータを理解することです。IT環境が進化したことで、企業が保有する全データが単一のクラウドで管理されているという状態はまれになりました。そこでハイブリッドクラウドやマルチクラウドを活用することで、リスクやコストを軽減させることができます。

2.続いてのステップは、サービスを提供する際やエクスペリエンスを向上させる際に必要となる、信頼性が高く適切なデータを確実に届けることです。例えば、銀行で口座を開設している顧客に対してローンやクレジットカードなどを勧めるクロスセルを検討している場合。各部門の責任者に求められるのは、提供したいサービスに適したデータを得ることです。例として、過去の取引やその顧客の信用度、考えられる金融ニーズ、さらには競合他社も含めて過去に提供されたサービスへの格付けなどが挙げられます。

メタデータを効果的に管理することで、組織内のデータに関するビジネスコンテキスト、リネージ、価値などを包括的に理解することができるようになります。現代におけるデータのランドスケープは複雑です。そのため、メタデータのスキャンやカタログ化だけでなく推奨や提案を行ったり、あらゆるタスクを自動化するAI主導のメタデータマネジメントを実現することが理想的です。最高品質のデータカタログには、複数の次元を通してメタデータを把握することができるナレッジグラフが備わっています。これにより、企業のデータカタログ内で用語やキーワードをセマンティック検索してスムーズに情報を得ることも可能です。またマルチクラウドおよびオンプレミス環境全体で、各部門を通して得られる総体的なビューを伴ったデータ検出が可能になることから、データの共有が容易になり、セルフサービス機能によって手動のタスクを減らすことができます。この総体的なビューによって、関連性の高いデータセット、テーブル、ビュー、データドメイン、レポート、ユーザーを把握し、関心を惹きつけるような他のデータセットを積極的に見つけていくことが可能になります。

メタデータマネジメントのメリットとしてもう一つ挙げられるのが、信頼性が高く、管理されたデータをビジネスの利害関係者に提供できるという点です。組織が新規のビジネスに乗り出し、新たなビジネスモデルで顧客を獲得する際、データが適切に管理され信頼性を保っていることは非常に大切な要素です。ガバナンスを通してメタデータが提供するデータを理解することで、企業は適切なデータを適切なユーザーへ、適切なタイミングで届けられるようにすることができます。

メタデータマネジメントを活用すると、企業が保有する全データのコンテキストを理解することができるようになり、企業とデータ間のギャップが解消されます。データ量が急増している現代において求められるのは、メタデータを管理し、全データを通した洞察を得られるAI主導のデータカタログです。タイプや場所を問わずすべてのエンタープライズデータを理解することで、利害関係者は顧客へのサービス提供、コンプライアンスの確保、業務の効率アップなどに必要なデータを得ることができるようになります。

クラウドにおけるデータへの投資を通して最大限の価値を得ている32%の企業に該当しないと感じる場合は、上記のステップをぜひご検討ください。試合では、チームの強みを発揮することで勝利を得られるのです。ファーガソン氏がプレイヤーを完璧に理解してチーム内の配置を決定したように、複雑性やニュアンスも含めて全データをきちんと理解し、それを戦略的に展開したり必要なアクセスを知る必要があります。これが、データへの投資が生かされるか否かを決定づけるものになります。

クラウド環境の改革は加速し続けています。また、多くのワークロードが移行し、クラウドデータウェアハウスやデータレイクにおけるデータ量も急速に増加しています。そのため、一貫性のあるメタデータインテリジェンスを用いたソリューションの活用をおすすめします。それによって、データのカタログ化、ガバナンス、品質、プライバシー、民主化の機能などが新規で単一のクラウドネイティブなサービスにまとめられ、理想的なデータインテリジェンスが実現するのです。クラウドやデータへの投資を有意義なものにするためには、メタデータを活用できるかどうかがポイントです。これに加えて、AI主導のデータカタログも必ず備えましょう。

詳細については、インフォマティカのクラウドデータインテリジェンスサミットをご確認ください。インフォマティカのSMEやアナリスト、そしてクライアントに関するセッションを通して、データへの取り組みに役立つ情報を得ることができます。


本ブログは2021年9月2日のCHARLES MATHEWによるMetadata Management – Bridging the Chasm Between Enterprise and Its Data to Realize Valueの翻訳です。