製品エクスペリエンス管理がファッション関係のブランドや小売業者にもたらす5つのメリット

この1年半のあいだ、ファッションビジネスは新型コロナウイルスの影響を特に大きく受けた分野であると言えます。

多くの国でロックダウンが実施されて店舗が閉店した結果、楽でカジュアルな服をオンラインで買い求める顧客が増えました。

このように、eコマースの需要が高まっていることは特に重要なポイントです。ファッション産業におけるeコマースは2025年までに1兆ドルにまで成長すると予測されており、ファッションに関するB2B(企業間取引)においても購入者の半数がインターネット上の取引に移行しています。そのためファッションブランドや小売業者は、魅力的な製品エクスペリエンスをオンラインで提供できるよう、デジタルコマースに関する機能を強化していくことが求められます。

データ管理に関する課題の克服

デジタルチャネルを通して行われる販売では、データ管理に関する新たな課題が浮上しています。つまり、eコマースやマーケティング担当者は成果につながるようなエクスペリエンスをデジタルで提供することが求められるのです。

顧客の好みやニーズを把握して個別に対応したエクスペリエンスを提供することで、すべてのチャネル(ウェブサイト、オンラインショップ、マーケットプレイス、検索エンジン、アプリ、ソーシャルメディアなど)で適切な製品情報を提供し、クロスセル、アップセルにつなげる必要があります。

こういった場合、ファッションブランドや小売業者は製品エクスペリエンス管理(PxM)のソリューションを用いることで、顧客中心でパーソナライズされ、魅力的かつ効果的なサービスを提供することができるようになります。

このようなサービスを実現するためには、タッチポイント全体で連携が取れており、状況に応じた信頼性の高い製品コンテンツを基盤に置く必要があります。PxMを支えるマスターデータマネジメント(MDM)では、機械学習や人工知能(AI)技術を適用し、顧客、製品、サプライヤー、その他のデータ管理の一元化を行います。

「質の低いデータが業者や顧客に悪影響をもたらす可能性がある一方、高品質なデータはエキサイティングで新しいビジネスにつながる可能性を秘めています」

こう話すのは、ある大手アパレル企業におけるアナリティクスおよびビジネスインテリジェンス部門のマスターデータオフィス責任者です。さらに「オムニチャネルビジネス戦略を拡大しはじめる際は、製品データ管理を一段階ひき上げるのに役立つMDMソリューションが必要でした」とも述べています。

本記事ではPxMを通して、アパレルやファッション産業にもたらされるメリット5つをご紹介します。

1.SEOのランクおよびデジタルの認知度を高めることで、売り上げに貢献する

アメリカにおけるアパレル関係の売り上げで1位を誇るのはAmazonです。このことから、ブランドや小売業者にとって、検索エンジンや市場での認知度を高めることや、アナリティクスを用いて顧客により良いサービスを提供し、デジタル販売を拡大させることの重要性が高まっていることがわかります。

オンラインでの販売を成功させるためにブランドと小売業者が気にかけるべき点は、製品やコンテンツの信頼性や完全性、それらが最新かどうかというだけではありません。チャネルが最適化、コンテキスト化され、販売する国に応じた言語で利用できるようにすることも大切です。

PxMによって製品情報、説明、画像などの関連性が高まり、最適化されることで、オンライン上のやり取りを増やすことができます。これに関わる分野として、マーケットプレイス、ウェブサイト、オンラインショップ、ソーシャルメディア、ショッピングアプリ、そして検索エンジン最適化(SEO)が挙げられます。たとえば、画像に正しくタグ付けを行い、SEOによって質の高い商品説明を提供することで、検索エンジンの結果がより見やすくなります。

ヨーロッパを代表するファッションブランドの1つであるKLiNGELグループは、製品情報のオンライン公開に関する遅延やエラーを改善することでオムニチャネルの売上を伸ばし、Amazon、eBay、OTTOといったデジタル市場でのブランド販売ができるようになりました。また、KLiNGELグループはショッピングにおけるカスタマーエクスペリエンスの向上にも努めています。スタイルや素材についてのより詳細な説明や多くの製品画像を掲載することで、顧客はニーズにあうものをスムーズに見つけ、商品を不安なく購入することができるようになります。

2.新たにパーソナライズされた製品エクスペリエンスを提供し、クロスセル、アップセルにつなげる

製品情報とそれぞれの顧客を照合し、ビジネスに不可欠な関係性を分析することで、デジタルマーケティングとeコマースはあらゆる点においてより多くの価値を生み出し、顧客の忠誠心を高めることができます。顧客データと製品データ双方の360度ビューを可能にすることで、オファーをパーソナライズするための基盤が作られます。これによって、顧客の過去の注文や返品理由(「小さすぎる」や「大きすぎる」など)に関する情報を組み合わせ、サイズの推奨を自動で行うことなどができるようになります。

同じ製品を購入した他の顧客の購入パターンを分析することで、ファッション企業はクロスセルやアップセルの機会を最適な状態で得ることができます。そして最終的には、信頼性、関連性の高い製品コンテンツに基づいた、魅力的かつパーソナライズされたオムニチャネルの製品エクスペリエンスが提供されるようになります。

ある大手アパレル企業における製品データおよび顧客インサイト部門のマスターデータオフィス責任者は「インフォマティカのProduct 360によってマスターデータ管理を行うと、高度な分析や顧客中心主義、パーソナライズに向けて製品データを簡単に有効活用できるようになり、ビジネスに高品質な情報を提供しているという実感が持てます」と述べています。

3.市場までの時間を短縮する

昨今、製品のライフサイクルは短く、次々と品ぞろえが変化していきます。そのためファッション企業では、製品コンテンツを管理、強化、コラボレーションする際、ワークフローの効率化やプロセスの自動化に重点を置いています。PUMA社のグローバルeコマース部門コンテンツ管理チーム責任者であるハイケ・ツェンケル(Heike Zenkel)氏は「製品のライフサイクルが12週間であることから、PUMA社ではスピード、俊敏性、そして市場投入までの時間を重要視しています。マージンが低下する前に行動することが大切です」と述べています。

企業の製品数が2000「しか」ない場合であっても、サイズやカラーの種類や季節ごとの管理を踏まえると、年間を通して把握しなくてはならないSKUの数は膨大な量になります。

PxMを活用すると、製品情報マネジメント(PIM)のプロセスを合理化し、市場投入までの時間を最大10倍ほど短縮することができます。

KLiNGELグループはインフォマティカのMDM製品であるProduct 360を使用し、製品情報を公開する速度が7倍速くなりました。さらに、複数の言語で豊富かつ完全なデータセットが管理されていることで、わずか1〜2日で70ほど存在する顧客とのタッチポイントすべてにおいて新製品を発売することも可能になりました。

4.コスト削減と効率アップ

特にアパレル業界のeコマースにおける重大なトピックとして、返品される商品のコストが挙げられます。衣服や靴といった製品は頻繁に返品される率が最も高いとされており、その数値は56%にのぼります。salescycle.comによると、オンラインで購入した衣類を返品する理由のうち64%は「記載されていた説明と異なる」というものです。

返品が行われないような質の良い製品エクスペリエンスをもたらすためにファッションブランドや小売業者がしなければならないことは、すべてのデジタルタッチポイントにおいて高い信頼性と関連性があり、完全な製品コンテンツを提供することです。

こういった場合に適切なPIMが伴っていると、高品質な製品情報やパーソナライズされたおすすめが表示されるようになるため、返品の数を減らすことができます。さらに、ソリューションがひとつに集約されることでワークフローが自動化され、コストの削減にもつながります。

「インフォマティカのProduct 360によってマスターデータ管理を行うと、顧客はニーズに合った商品を最初から得られるようになり、返品数を減らすことが可能になります。」と、KLiNGELグループでかつて製品データ管理の責任者を務めていたセバスチャン・クランプ(Sebastian Klumpp)氏は述べています。

5.信頼性の高いデータでARおよびVRのエクスペリエンスを提供する

魅力的なオンラインのエクスペリエンスを作成するだけではいけないということは、恐らく他のどの分野よりもファッションブランドが最も把握しているのではないでしょうか。つまり、消費者と直に魅力的な関係性を築くためには、デジタルに関する努力と実店舗内でのダイナミックな製品エクスペリエンスを紐づけすることが大切なのです。拡張現実や仮想現実(AR / VR)機能とオンライン、オフラインのやり取りが組み合わさることで、これからのショッピングはよりハイブリッドなものになっていくでしょう。

ブランドの店舗では、ディスプレイ、印刷広告、AR / VRソリューション、そしてエンドレスアイル(顧客が店舗で入手できない商品を閲覧および注文できる店舗内の端末やモバイルアプリケーション)などに正確な商品情報を提供することが求められます。

スポーツウェアブランドであるPUMA社は、ニューヨーク市内の主力店舗で相互作用的なデジタル製品エクスペリエンスを実現し、顧客がより積極的にショッピングできる環境を作り上げました。テクノロジー主導のやり取りによって、PUMAの靴、アパレル、アクセサリーなどをカスタマイズし、顧客それぞれに合う買い物ができるのです。

店内にはARミラーが戦略的に配置されており、顧客は商品をそこに映すことで別のカラーやスタイルを確認することもできます。こういったインテリジェントなミラーは信頼性の高い製品コンテンツとつながっているため、消費者が試着するアイテムに基づいて、他の商品をセレクトして表示できる仕様になっているのです。

このように小売店でARを活用した成功事例は、信頼性が高く豊富な製品コンテンツがあってこそのものであり、次世代のオムニチャネルにおける製品エクスペリエンスを促進するものでもあります。これは、卸売りの仮想ショールームなど、B2Bの商取引にも言えることです。

「インフォマティカのMDM製品であるProduct 360によって、製品データ品質の透明性が高まりました。これにより、理想的なデジタルショールームが実現し、将来的な店舗のイノベーションが可能になりました。」と、ある大手アパレル企業における製品データおよびカスタマーインサイト部門のマスターデータオフィス責任者は述べています。


本ブログは2021年9月3日のANTONIA RENNERによる5 Ways Fashion Brands and Retail Benefit from Product Experience Managementの翻訳です。