クラウドでの信頼できる分析は、データディスカバリーとプライバシーから始まる

少し前になりますが、世界的な大手通信会社でクラウドやデータセキュリティーエンジニアリングの責任者が、あるイベントでの基調演説の準備をしていました。そのテーマは「デジタルトランスフォーメーションを加速する上で、クラウドのデータセキュリティとプライバシーが与える影響」というものでした。

基調講演を聞いた多くの聴衆は、現代のITが内包するジレンマについての彼の悩みを共有しました。それは、クラウドに新しいデータ分析アプリケーションを移行するために、顧客データが安全であることをどのように証明すればよいのでしょうか?というものでした。

彼の挑戦は、現在同じような移行作業を行っている多くのビジネスリーダーや技術者にとって身近なものでした。安全で信頼できるクラウドデータアナリティクスの答えは、データガバナンスの成熟度にかかっていると言っても過言ではありません。

各部門のビジネスリーダーは、機密性の高い顧客データをクラウドに移行するために必要な新しいサービスを提供し、収益の拡大に注力していました。最新のクラウドアプリケーションは、データ分の洞察力を高めます。一方で、彼はデータをクラウドに移行するなら、社内のデータと同等の安全性と信頼性を備えていると判断されない限り、社内システムからデータを移行してはならないという取締役からの命令を受けていました。結果、彼は行動を起こすことができなかったのです。

ビジネス価値とデータガバナンスのリーダーの異なる要望を満足させるためには、どのように信頼性を測定し、納得のいく保証を提供すればよいのでしょうか。重要なのは、新しいクラウド環境で信頼のできる顧客データを維持するにはどうすればよいかということです。

Flexera社による「State of the Cloud Report 2021」によると、企業はクラウドへのデータ移行を進めています。2021年の初めには、企業の保有するデータのうち、約半分(46%)がすでにクラウド化されており、次の一年間で、さらに8%増加すると予想されています。そこから導き出される答えは明白です。この流れに適応しなければ、クラウド移行を推し進めている競合他社に先を越されてしまうでしょう。

このような課題を目にする機会が増えていますが、これらの課題のいくつかは、実際のクラウド移行の中で認識していくことになるかもしれません。

適切なデータの使用とは何でしょうか。クラウドは、それほど重要ではない一般のデータの保存先として、最適な場所なのでしょうか。それとも、データ分析アプリケーションを拡張することで、より優れた革新のためのデータインテリジェンスを安全に活用することができるのでしょうか。

データの取り扱いにはどのように関連するのでしょうか。クラウドデータへのアクセスや利用を民主化した場合、クラウドアプリケーションにおける個人データやIPの取り扱いはどうなるのでしょうか。また、企業のポリシーに合っているかどうかをどのように判断するのでしょうか。

信頼性の保証については誰が責任を持つのでしょうか。オンプレミスのシステムですでに確立されている信頼性を反映するのに有効なデータ、AI、アプリケーションのガバナンスには誰が責任を持つのでしょうか。そのような一貫性のあるシステムは構築する事ができるのでしょうか。

デジタルトランスフォーメーションにおける信頼性確保のための未知の領域への挑戦

クラウドサービスプロバイダーは、基盤となるプラットフォーム(ハードウェア、OS、ハイパーバイザーなど)を管理および保護できますが、上位のデータレイヤーではさらに複雑になります。 データへのアクセスと使用は、各テナントのクラウドデータガバナンスの責任です。 多くの場合、サービスレベルアグリーメント(SLA)は、アプリケーションとデータへの適切なアクセスを制御する責任を負うのはテナントであり、プロバイダーの範囲外です。

各自のデータに責任を持って管理することは、各テナントに委ねられています。先ほどの例のような典型的なシナリオが見えてきます。

企業のビジネスリーダーは、顧客の購買行動をより深く理解し、データの価値を評価することで、カスタマーエクスペリエンスに関するデータインテリジェンスを向上させ、より良いロイヤリティを構築したいと考えていますが、データが社内と同様の扱われるように、クラウドに対する信頼を確立する必要があります。

さらに、パンデミック後の世界においては、デジタルトランスフォーメーションは加速する一方です。データ分析のガバナンスプログラムを立ち上げるために新たなインフラを導入することは、社内で検討するには費用と時間がかかりすぎます。少なくとも、組織化されていない企業では、ゲートキーパーとしてプライバシーとセキュリティの保証を求める取締役レベルの要求に迅速に対応することは難しいでしょう。

クラウドは、運用コストや初期投資コストを削減して価値を生み出す時間を大幅に短縮し、長期的には大きな柔軟性とスケールメリットをもたらしますことができます。しかし、経営者は、信頼できない、実績のない環境で顧客データを公開することに不安を感じています。クラウドデータガバナンスとカタログソリューションは、これらの信頼性確保のための質問に対する解となり、データ分析を含むクラウドの導入と活用を促進します。

パンデミック後には全てが無駄になるもしくは加速する

パンデミック後の企業は、Time to Value(価値を生み出すまでの時間)を短縮することを新たに考慮します。少ないリソースでより多くのことを行い、大きな打撃を受けたITなどの機能をアウトソースし、サプライチェーンの混乱を修復し、不確実な時代の後に労働力とオペレーションを再編成することで、デジタルトランスフォーメーションのハードルを下げようとしています。

これまでは数年単位で考えられていたクラウド移行は、2021年現在、信頼性の高いクラウドデータガバナンスによってビジネス効率を向上させることができるかどうかが、今日の差別化要因となっています。しかし、機密データを使用する場合のクラウド移行のリスクは依然として残っています。2020年の混乱は、ホスト環境の信頼性を高める助けにはならず、より早く移行しなければ取り残されるという焦りを生むにすぎませんでした。

未来に向けた透明性を有するクラウドデータディスカバリーとプライバシー

上記の例のような組織では、情報に基づいた意思決定を行うために必要なデータの透明性と洞察力を備えた上で、厳しいながらも達成可能なバランスのとれた行動を迅速にとることが目標となります。

新しいクラウドデータ分析を迅速に立ち上げたいというビジネスリーダーの要求に応えるとともに、データスチュワードに対して、クラウドがデータのプライバシーや信頼性に与えるリスクは、これまでオンプレミス環境で十分に管理できていたものと比べて変わらないことを示すことができます。

クラウドデータガバナンスは、クラウドネイティブな取り組みを促進する透明性と洞察力を実現する鍵となります。インフォマティカのクラウドデータガバナンスとデータカタログは、以下のようなプライバシーガバナンスとリスク軽減のベストプラクティスを実現し、自信を持ってワークロードとデータを移行するために必要な支援を提供します。

安全な移行のために機密データから新しい洞察を得るためのデータディスカバリー:

メタデータ管理のリーディングカンパニーであるインフォマティカは、クラウドアナリティクスのガバナンスにデータディスカバリーを適用することで、データの信頼性とプライバシーに関わる機密性を評価するための洞察を提供し、データに基づいた意思決定をサポートします。クラウド移行されたデータは、独自の処理が必要なのか?制限なく誰でも利用できるようにすべきか?これらの質問に答えることで、データそのものと適用される分析アプリケーションの両方を使用することができます。

・適切なデータ公開を決定するためのデータリネージインサイト

潜在的にリスクが高い可能性のある機密データを発見して分類するだけでなく、そのデータの動きを把握し、クラウドでのデータの民主化と公開のポリシーに適しているかどうかを判断する必要があります。国境を超えたデータ転送に影響を与える規制がある中で、データをクラウドに移行することは、オンプレミスシステムの安全な境界を越えて、企業のIT環境の外だけでなく、適切な条件の下でグローバルに機密情報を共有する方法に影響を与えます。

・データ分析プログラムを適切に管理するための説明責任

データ品質を可視化し、アナリティクスを強化するAIモデルをより深く理解することで、急速に浮上しているデータ倫理法に先んじることができます。また、企業ユーザーと顧客とのコミュニケーションの両方を満足させる信頼と確信を持って、適切なデータ利用に関するプライバシー公開の意思決定を導くことができます。AIの利用が拡大し、パフォーマンスの監視と管理が急務となっている中、クラウドデータガバナンスの洞察によって対処しなければ、結果的にバイアスやコンプライアンス上のポリシーとの不整合が発生し、クラウド移行を妨げる役員レベルの問題となる可能性があります。責任あるステークホルダーを特定し、AIバイアスのリスクを修正して報告することができれば、規制の圧力が高まり始める中、長期的な監視を避けることができます。

・ステークホルダーがより安全に使用できるようにスケールアップするマネージドデータ

プライバシーと透明性の要件とデータ民主化のニーズのバランスを取ることで、クラウドプラットフォームが提供するスケーラビリティと柔軟性の向上という価値を引き出すことができます。しかし、これは単純なことで、クラウドに移行するデータやワークロードが増えれば増えるほど、規模の大きさに起因するリスクも大きくなります。クラウドソリューションでデータディスカバリーとリネージインサイトを可能にすることで、規模を拡大する際に、データディスカバリーがメリットに見合うものなのか、それとも不必要な負債なのか、継続性について賢明な判断を下すことができます。さらに重要なことは、データの価値を最大化し、リスクを最小化するために、どのようにデータを発見し、分類し、優先順位をつけ、保護するのがベストかを決めることです。

・クラウドアナリティクスの成果を得るための時間ではなく、価値を生み出すことに集中する

クラウドデータガバナンスは、表面的にはビジネスを行うためのコストですが、ドアの向こうにある莫大な価値を引き出すための鍵のようなものです。メタデータに基づいた自動化されたデータディスカバリーにより、アナリティクスに必要なデータの検索、評価、準備に費やす時間が減り、代わりに、行動に役立つビジネスインサイトを生み出すデータを用いて、新たな価値を生み出す信頼できるデータソースの運用に時間を割くことができます。データを安全に民主化することは、ビジネスリーダーにとっても喜ばしいことです。

デジタルトランスフォーメーション失敗のリスクはあまりにも大きい

デジタルトランスフォーメーションとクラウドにおけるアプリケーションの最新化が成功するかどうかは、新しいクラウドデータ分析を立ち上げるための前提条件として、移行を計画しているデータの信頼性と信用にかかっています。

データやAIモデルの信頼性やプライバシーに関する懸念や不整合は、長期的なカスタマーエクスペリエンスに影響を与えます。このような懸念を放置しておくと、新たな投資が滞り、価値創造への投資ではなく、信頼やプライバシーに関するリスクの回復に注力することになります。最終的には、信頼性の欠如により、これらの懸念は、企業の新しい製品やサービスを推進する新しいSaaSアプリケーションの採用を妨げます。

クラウドデータディスカバリーとクラウドデータリネージは、進化するデータガバナンスポリシーをどのように導くかについての洞察とともに、クラウドにある機密データの可能性を最大限に発揮させるための鍵となります。データディスカバリーとプライバシーは、クラウドデータ分析とガバナンスを適用することで、データのプライバシーリスクを評価、理解し、透明性のあるAIへの信頼を可能にするための出発点となります。

要点はシンプルです。クラウドデータガバナンスに頼って、責任を持ってデータを移行するために必要なデータインテリジェンスの洞察を提供することができれば、プライバシーリスクを置き去りにして価値創造を加速することができます。そのためには、まずデータディスカバリーから始めましょう。


本ブログは2021NATHAN年8月2日NATHAN TURAJSKIによるTrusted Analytics in the Cloud Starts with Data Discovery and Privacyの翻訳です。