インフォマティカが社内クラウドの刷新から得た教訓

もし、あなたが所属するチームで「扱い慣れている堅固なオンプレミスツールから、クラウドに変えて新たな体制を整えよう」と言われたらどうしますか?たとえそれが多くのメリットにつながる可能性を秘めているとしても、新しい何かを受け入れるのは必ずしも容易なことではありません。最近投稿した、デジタルトランスフォーメーションをリードすることから得られる教訓についてのブログでも言及しましたが、CIOの仕事の大部分を占めるのは、変化を通して人々を率いるということなのです。たとえ、はじめは不慣れな思いをするとしても、クラウドの最新化は必要不可欠です。

最近、インフォマティカ社内にてクラウドへの刷新を行いました。弊社の場合は、長年にわたってデータ統合の代表的存在であったInformatica PowerCenterから、インフォマティカのクラウドネイティブデータ統合サービスを備えたIntelligent Data Management Cloudに移行しました。

インフォマティカのお客様の多くが、同様の取り組みでクラウド最新化を行っています。この取り組みを弊社で行った際は、研究開発チームおよびインフォマティカのプロフェッショナルサービス(IPS)チームと協力し合い、まっさらな状態からプロセスを作り上げました。「カスタマーゼロ」となる機会を持つことで問題がないかを探り、IPSが最新化のツールやフレームワークを開発する際の参考にしたのです。IPSでプロセスの調整を行ったことで、PowerCenterからの移行もスムーズに行えるようになりました。その後、この方法を Migration Factoryとして運用化しています。インフォマティカの移行アプローチでは、最新の組み立てラインと同じように、明確かつ反復可能なステップが自動的に行われます。

インフォマティカの取り組みに関して、細かな部分から全体像に至るまでの教訓を以下にまとめました。読者の皆様の組織を変える際の参考になれば幸いです。

なぜ最新化を行うのか

使う製品を変えるということは、簡単なことではありません。特に、PowerCenterのように愛され続けた製品であればなおさらです。開発者の中には、変更したくないという人もいるでしょう。しかしCIOの観点から見ると、最新のプラットフォームに変えることは本当に必要な作業なのです。変化してゆくニーズにビジネスが対応できるよう、IT部門も機敏に応じていかなければなりません。古いオンプレミスの製品に留まっていると、これが非常に困難になるのです。

また(インフォマティカのIntelligent Data Management Cloudで提供されている)クラウドデータ統合の製品をご覧いただければ、移行すべき多くの理由が伝わるかと思います。最新のプラットフォームではETL、ELT、アプリケーション統合、データエンジニアリングタスク全体にわたる最先端の統合ワークロードをサポートする高度な統合機能に加え、必要なクラウド認証や優れた弾力性を備え、より多くの製品へのアクセスが可能な最高品質のセキュリティが搭載されています。サブスクリプションとクラウドのビジネストランスフォーメーションでは、オンプレミスアプリケーションのほとんどが廃止され、最新のクラウドアプリケーションに置き換えられました。こういった新たなアプリケーションへの接続を行うため、インフォマティカのクラウド統合製品が開発されました。長年の時を経て、新製品が幅広く導入されるようになりましたが、PowerCenterを使用したレガシー統合はまだ残っています。ビジネスニーズがあったこと、そしてPowerCenterからIntelligent Data Management Cloud(IDMC)上のクラウドデータ統合製品への移行をサポートする管理プログラムについて一部の主要な顧客と話し始めたことで、パイロット版を社内でしっかりと試してみる必要性を感じていました。

PowerCenterからInformatica Cloud Data Integrationに移行すると、IDMCプラットフォームがクラウド内のデータに近いことから、パフォーマンスが大幅に改善します。インフォマティカの将来的なロードマップとR&Dの取り組みはすべて、IDMCへの投資に重点を置いています。プラットフォームには常時さまざまな機能が追加されており、アップグレードが自動で行われるため、管理者側で気にかける必要が少なくなります。さらに、基本的な接続レベルでであっても、PowerCenterに比べてIDMCの方がより新しいコネクタを利用できるようになります。

ビジネスニーズの観点をはじめ、コネクタを手動で扱いたくないといった細かな悩みに至るまで、どの点を取っても、最新化を行うことは理にかなう作業であると言えます。

PowerCenterからクラウドへの移行のフェーズ

移行プロセスに期待することを思い浮かべてみてください。インフォマティカの移行は通常とは少し異なり、IPSにフィードバックを送るため頻繁に停止したり、外部の顧客を支援している間はプロジェクトが一時的に止まることがありました。しかし、主に4つのフェーズを経てお客様の期待に応えるものにマッピングされました。

フェーズ1:査定を行う 最初のフェーズは非常にシンプルです。現状を理解することは、いかなるクラウドの最新化、移行イニシアチブを行う上でも大切な作業です。PowerCenterからの最新化を行う場合、まずはそのPowerCenterに何があるかを把握する必要があります。大抵の場合、そこには10~20年にわたって築き上げられた資産があります。Migration Factoryには環境を査定するツールが含まれており、インフォマティカでは約2,000のマッピングがあると判断されました。評価ツールを通してPowerCenterリポジトリの詳細な読み出しを行い、マッピング、セッション、ワークフロー、接続数、構成プロパティ、その他の詳細など、すべてのメタデータが分類されます。これによって、IPSはその環境が何で構成されているかを把握できるだけでなく、ワークロードをクラウドデータ統合に移行する際に必要な労力や容量を正確に計ることもできます。

フェーズ2:クリーンアップ 新しいシステムをクリーンにして、可能な限り効率的に実行させることが大切です。例えば、2年前に停止した仕事であるにも関わらずコードが残っているなど、今となっては必要ないものは必ず存在します。こういったものを持ち越さないためにも、すべての移動するものに対してテストと検証を行う必要性があります。最初の段階でこのクリーンアップに時間を費やすことで、実質、最新化の流れがよりスムーズになります。インフォマティカの場合、2,000ほど存在したPowerCenterマッピングのうち、約800を取り除き、残りの1,200を移行しました。

フェーズ3:変換 ここでインフォマティカの特徴として有名な、インテリジェントな自動化に取り掛かります。インフォマティカのR&Dでは、Migration Factoryの一部として、マッピングの大部分を自動的に変換するインテリジェントコンバータを開発しました。もちろん、少数の例外はあります。データを取得しているFTPサイトなどについては、IDMCで手動の接続を行う必要があるかもしれません。こういった例外は大抵の場合、特殊なシステムに属しています。このコンバータを使用して、インフォマティカではマッピング、セッション、SQLの90%以上を変換することができました。さらに、構成、オーバーライド、スケジュール作成レベルの詳細なども、RPA機能を用いた変換が可能です。

フェーズ4:テストと検証 移行したあとは、すべてが正しく機能しているかどうかを確認する必要があります。インフォマティカでは、これを事業ごとに複数の段階、つまりスプリントに分割しました。変更が行われた際、検証とテストにかけるデータを良く知る人をはっきりさせるためです。この検証のフェーズでも、インフォマティカのツールを使用しました。その上で、それぞれの業務部門の従業員に、すべてが正常に機能していることを確認してもらいました。

すべてのテストと検証が終わっても、念のため古いシステムを保持することをおすすめします。インフォマティカでも、PowerCenterは1カ月ほど稼働させておく予定です。その後、完全に古いシステムをオフにする時が、本当の意味でプロジェクトの完了となります。

得られた教訓

インフォマティカでの最新化は、スムーズに進みました。類似するプロジェクトについて検討する場合に、これまでに述べたこと以外で押さえておくべきポイントをご紹介します。

業務部門との調整:Migration Factoryのようなツールを使用する場合でも、データのテストと検証は必要な作業であり、そこには業務部門との連携が不可欠です。プロジェクトのスケジュールを計画するときは、事業の関係者との調整を細かく行う必要があります。これは当たり前のように聞こえるかもしれませんが、事業が別の何かを行っているタイミングでテストと検証を同時進行させるのは避けるべきです。例えば、財務部門での移行は四半期の終わりからずらして行いましょう。また、プロジェクトが2週間ほど伸びた場合でも四半期の終わりと確実にかぶらないようにするため、十分な猶予期間をもつことが大切です。従業員の確保に関しても、年次の業績評価や昇給を処理する時期は避けます。一般的な見解ですが、計画を立てるのが6カ月前だとこういった事項を見落としがちになります。

さらに関係者は、変換、検証、テストを行うあいだは開発をストップする必要があるということを把握しておかなくてはなりません。その間、レポートに変更を加えることも控えるべきです。上記のフェーズを完了するには数週間から1か月程度の時間を要する場合があることを踏まえたうえで、ビジネスの計画を立てる必要があります。

またインフォマティカでは、エンドユーザーのテストとレポートに関してはまだ十分な仕事ができていないと感じています。これは、当初はIT部門中心のプロジェクトであると想定されていた最新化が、より広い範囲で求められる基盤となりつつあるためです。この教訓を踏まえたうえで、業務担当者がテストの準備ができているか確認することをおすすめします。

チームのトレーニング:使い慣れたツールを変える場合、新しいシステムに関して十分なトレーニングを行い、チームが快適に移行できるように配慮する必要があります。開発者はPowerCenterに愛着があり、そこに留まりたいと思っている可能性があります。あなたはそれに理解を示しつつ、新たなツールがより快適な開発につながることを伝えなければなりません。「新しいXは古いツールでもスムーズに扱える」といったお決まりの反応が返ってくる場合もあります。しかし、チーム内でIDMCを高く評価し、使いやすさを実感している従業員も存在するはずです。開発者のようにシステムを管理する人物以外でもより多くの従業員にとって使いやすいシステムを導入することで、実質的に開発者の負担を減らすことにもつながるのです。

新しい環境へのコミットメント:管理チームとして、新しいシステムを取り入れる必要性をしっかりと認識することが大切です。「インフォマティカでは、今のシステムのままでも優れたサポートを受けられるが、IDMCに関するトレーニングを受けて新たなシステムを組み込むべきだ」という強い認識がない場合、PowerCenterから移行できないでしょう。もちろん、移行自体はできない作業ではありませんが、一歩踏み出さなくては使い慣れた環境からなかなか動けないものです。一度決心してしまえば、移行に向けて動き出すことができます。

変化することは容易ではありませんが、リーダーとして、それに付随する困難を取り除いていくことは可能です。今回ご紹介したベストプラクティスが、読者の皆様の組織を変える際の参考になれば幸いです。


本ブログは2021年6月28日のGraeme ThompsonによるLessons from Informatica’s Own Cloud Modernization Journeyの翻訳です。