金融業界における2021年のデータマネジメント予測

新年を迎え、銀行、証券会社、生命保険会社、損害保険会社は心機一転、新たな熱意をもって参入の準備をしており、金融業界全体に新たな課題と機会がもたらされます。

この先に何が待ち受けているのか、それを明らかにするために2021年の金融業界全体の上位に来る予測をリストアップしました。

  1. 業界は、さらなる信用損失とバランスシートが明るみに出ることに対し、自身を守る必要がある
    フォーブスによれば、フォレスター・リサーチは次のように予測している。「2021年は、銀行は慈善事業的なビジネススタイルからリスク管理型に移行することになるでしょう。差し押さえ件数は増加し、中小企業向けの融資や高額の融資担保物件は減少することになるでしょう。また、一部の国では預金にマイナスの金利が導入されることになると予想されます」[1]
  1. 支払い詐欺や保険金請求詐欺の件数が増加すると予想
    新型コロナウィルスが流行したことにより、世界的規模で電子決済の採用が加速します。これにより、支払い詐欺も同様に活発化する可能性があるでしょう。この傾向は保険業界、生命保険会社、自動車会社、損害保険会社にも起こると予測されています。
  1. カスタマーエクスペリエンスは、新たなデジタル投資で強化する必要がある
    カスタマーエクスペリエンスは、新たな競争分野であり、金融関連組織は、製品や価格以外の別の方法で差別化する新しい方法を模索しています。特にパンデミックの間、給与保護プログラム(PPP: Paycheck Protection Program)ローンの申し込みを必要とする中小企業から、最近死亡した生命保険契約者の保険料請求を提出する受益者に至るまで、その傾向が強くなっています。

  2. 既存顧客の掘り起こしに注目度が高まる
    銀行や、信用組合、保険会社がパンデミックからの回復を目指す中、マーケティングと営業チームは、新規顧客を開拓するのではなく、既存の顧客からの収益を増やすための創造的且つインテリジェントな手法に投資することで、収益目標を達成する傾向があります。
  1. 企業の合併・吸収が活発化していくことが予想
    2020年には、TDアメリトレードチャールズ・シュワブE*TRADEモルガン・スタンレーが合併し、VenerableAnnuityによるEquitableFinancial Life InsuranceCompanyの買収が決定しました。歴史的な低金利、安価な資本市場、および中小企業がパンデミックの影響を受けていることで、専門家は金融業全体でM&Aがより活発化すると予測しています。

  2. 業界規制が再び注目
    2021年には、地域ごとのデータ保護規則から、新しい資本要件指令および規制(ヨーロッパでは一般的にCRD5およびCRR2と呼称)への移行、LIBORの満期延長などが施行されることにより、業界規制をより改善することが再び議題となります。

以下は、これらの予測に対処するための、2021年の金融全体の変革と変化をリードする経営層に向けた提言です。

  1. データガバナンスは、より自動化され、対応力が必要になる
    最高データ責任者 (CDO)は、AIを活用したデータガバナンス・ソリューションを採用し、データスチュワード管理を分散化させ、セルフサービス・スチュワード管理を有効にします。そして、全ビジネスに対する全データ要件に対応しながらデータガバナンスのコストを削減することにより、データガバナンスプロセスの運用を見直すことが要求されます。データガバナンスを拡張するには、CDOはIT知識が無くとも、セルフサービスのデータアクセスを可能とするソリューションを活用することで、データガバナンスの分散化と民主化を実現出来るように検討しなければなりません。
  1. データ系統とその透明性を高める
    金融業に関わる全ビジネス分野の企業は、データがどこで作成され、処理され、消費されるかについての詳細な洞察がないことに頭を悩ませています。このレベルのデータ系統は、コンプライアンスチームにとっては、ハイブリッドアーキテクチャ全体におけるクライアントのオンボード上のエラーの解決、データエンジニアリングアーキテクトのリスク計算、などに使用されるデータを知るためには重要なことです。
  2. データ品質の問題解決を優先
    これにより、新型コロナウィルス発生前、コロナ禍、ポストコロナのいずれのージであっても、最近の投資がデータ品質に起因してカスタマーエクスペリエンスに影響を与え、リスクを高め、利益率を下げる可能性につながらないようにします。データ品質管理については、データエンジニア、データアナリスト、データスチュワードから経営幹部の経営意志決定者に至るまで、全てのデータ関係者の間で実践的かつ、測定、監視、および伝達を可能とする必要があります。これにより、データ品質管理は透明化され、予測かつ測定可能になります。

  3. インテグレーションコンピテンシーセンター (ICC)またはセンター・オブ・エクセレンス(COE)を設ける
    これにより、データ管理関連の活動に毎年IT予算の20%以上を費やしている組織にとって有効なものになります。ICCは、共通のプラットフォームを活用することが可能となり、企業がリーン・データ統合の原則を採用出来るようになります。データ移行、テストデータ管理データ品質、メタデータ管理プロセス、チーム、およびテクノロジーの全てにおいてスループットが改善され、運用コストも削減され、スケールメリットが向上します。

  4. カスタマーエクスペリエンスへの投資を行う
    新型コロナウィルスの影響により、多くの組織において個人的に顧客との関係を築ける人材やプロファイル情報が不足しているため、顧客体験への投資は価値あるビジネスにつながらない可能性があります。このようなソリューションは、カスタマーエクスペリエンスを向上させて然るべき販売や、カスタマーサービス、マーケティングへの投資を補助する深い洞察の管理、共有、および提供が適うように設計されています。カスタマーエクスペリエンスの責任者は、このために今現在進めている顧客の獲得、および既契約者への相互募集活動をサポートするために使用されるデータの有効性、品質、および完全性を評価する時間を割く必要があります。

2021年は金融業界やインフォマティカにとっても刺激的な年になるでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。


[1]https://www.forbes.com/sites/forrester/2020/10/22/in-2021-banks-will-need-to-get-to-know-their-customers-again/?sh=6b116b292e5a



本ブログは12月17日のPeter Kuによる2021 Data Management Predictions for Financial Servicesの翻訳です。