データがDeutsche Leasingの戦略的資産であることを保証するカギ、それは「コラボレーション」

コラボレーションは、データガバナンスを成功へ導く要となります。ビジネスやITの専門家は、適切な拡張性や部門間の摩擦が生じないようにするため(理想を言えば、最初からサイロ化を回避するため)、エンタープライズデータガバナンスプログラムの運用時に協力しあう必要があります。プログラムがデータを戦略的資産として保証するものである場合、コラボレーションすることは単に「好ましい」というだけでなく、非常に大切な要素となります。私が最近のブログで指摘した「7つのC」の中にも“Collaborative”(協力)があるのはそのためです。Deutsche Leasingのガバナンス成功の土台にも、ビジネスチームとITチーム間のコラボレーションがありました。

これまでの Data Empowerment Experts series webinar に倣って、先日私はDeutsche LeasingのITチームにおけるシニアITプロジェクトマネージャーを務めるモリッツ・シュリー(Moritz Schlee)と、ビジネスのラインを代表するグローバルレポーティング部門の責任者であるアレクサンダー・フレビチェフ(Alexander Khrebtishchev)と対談し、データガバナンスを成功させる方法について伺いました。近日公開予定のウェビナーに先駆けて、質疑応答の一部をここでご紹介します。

質問:スタート地点の決め方は?

回答:イニシアチブの開始時に下した決定のなかでも特に重要だったのは、ビジネスが主導し、ITがそれに続くことでした。弊社で優秀な経営幹部によって財務、管理、リスク対策の世界的な調整が行われているのは幸運なことですが、部門同士の連携がとれておらず、コンポーネントに大きな隔たりがあったのです。

「新しいビジネスのボリューム」のように、典型的なKPIを例にとって考えてみましょう。一見、非常に明確に思えても、これを測定する指標はたくさんあります。たとえば、そのビジネスの最中、終了時、開始時のほか、会計、管理、リスクなど多くの視点から測定を行うことができます。また、世界中でさまざまなデータモデルを使用する20以上の契約システムが存在することから、更に複雑さが増します。すべてのデータモデルは現地の規制に合わせて調整され、関連するコンポーネントをそれぞれ格納しています。これらは統一性を欠くため、管理が難しくなるのは明らかです。ここに関わるIT専門家がどんなに優れていたとしても、特定の状況でどのような種類の情報が必要かと必ず問われるはずです。この質問は、ビジネスにしか回答することができません。では、最初からビジネス側の視点で始めてみるのはいかがでしょう?

私たちは主に2つのステップを踏むことで「ステッチスルー」というアプローチを開発しました。このアプローチは、まずグループ全体でビジネスの専門家を指名するところから始まります。この専門家は、さまざまな部門で広く使用されている(そしてしばしば誤解されている)指標やKPIの明確な定義を把握している必要がります。過去とは異なり、これらの定義は、辞書で用語を検索する場合と同様に、システムでのそれぞれの技術的な実装から独立している必要があります。このように特殊なタイプのデータ管理者は「業務データ責任者(BDO)」と呼ばれ、それぞれの情報ドメインにおけるビジネス知識の保護者のような存在と見なされます。次に、定義が整い、個々の責任者が明確に割り当てられている場合に限り、IT部門が必要な情報を検索して提供します。弊社では、Axonを使用することで理想を具現化することができました。ビジネス属性がどの技術フィールドにリンクしているか、データセットを一目で確認できるようになったのです。リンクされたフィールドは、Axonと共に欠かせないEnterprise Data Catalogによって配信されます。しかし、入力ポイントは常に、用語を検索しITをより深く掘り下げるビジネスユーザーのビューであり、技術者がビジネス的な意味合いで使う場合とは異なります。

もちろん、このようなアプローチには、世界中のさまざまな国における部署、文化、習慣を学んで理解するための時間が必要です。新製品を発売する際の典型的なプロジェクトを継承するだけでなく、忍耐力、情熱、根気や、長年にわたって持続する意欲が求められます。あなたの会社で何年にもわたって「不文律」と見なされてきた事柄に疑問を投げかけ、ビジネスロジックの基礎を深く掘り下げる準備をする必要があるのです。もちろん、インフォマティカのツールを使用することでさまざまなドキュメントの可能性や手法を試すことも忘れてはいけません。情報管理の問題にぶつかった場合は、作業のどの段階であろうと標準化や効率を追求するアプローチを再考し、再設計しなければならないかもしれません。経験を積むことで、会社のニーズと見合う、利害関係者から賛同を得るリソースに適合した、オリジナルで完璧なプロセスフローを発見します。

質問:勢いを維持する方法は?

回答:情報ドメインは必ずしも会社の組織的な設定に沿っているわけではありません。代わりに、外部または内部レポートに関してBDOが定めた特定の要件を反映しています。最初は特に、BDOやドメインオーナーは、個々のビジネス条件の責任をどのように分析するかを正確に把握していない場合が多いため、サポートやコーチングが必要です。またこの段階で、イニシアチブにおけるグループ全体の標準とプロセスを設定し、維持するための中央ユニットが必要であると私たちは気づきました。そのため最初のタスクの1つとなったのは、組織全体で個々の情報の責任をどのように分割するかを決めることでした。ここでのポイントは「ソフトウェアアプリケーション」ではなく「情報」にフォーカスすることです。なぜなら、前者はシステムベースであり、より避けたい技術的アプローチを示唆しているためです。

時代と共に、初期のような中央ユニットでのガイドラインは分散ユニットに改良されてきました。また、人々がビジネス取引間の論理的なつながりを深く掘り下げ、コラボレーションを行う過程で責任の在り方も変化し始めました。そのような中でも、グローバルコンセプトはわずかな調整を行う以外は安定している状態でした。そしてある時、ドメインAのBDO 1が、ドメインBのBDO 2によって意味づけられたコンポーネントを含む定義を作成します。どうしてもっと早くやらなかったのだろうと思いました。これにより、共有された知識と透明性の勢いが瞬時に高まったのです。更には、日常業務ではほとんど知ることができない他のチームや部門への信頼感が生まれました。突然、指示やガイドラインだらけの「規制」環境から抜け出して「探求モード」へと変化したことで、すべての従業員が新しいことに挑戦し、会社に大きく貢献できるようになりました。組織全体で「頭脳」が繋がり始め、連鎖反応がおこったようなものです。ビジネス条件やビジネスイベントについての意見交換がよりオープンに行われるようになり、従業員全体で理解度が高まっていると感じられることから、更に知識を共有し、調整するようになるのです。これにより、さまざまなチームにまたがる複雑なプロジェクトにおけるコラボレーションの準備が大幅に改善されるだけでなく、生産性の向上、複雑さの軽減、より論理的なアプローチへとつながりました。

もちろん、情報管理に関するグローバルなビジョンを刷新する必要がある場合もあります。特に、日常業務からの圧が増し期限が迫っている場合はそう言えるでしょう。したがって、イニシアチブの指揮をつかさどる立場は、主要なプレーヤーや利害関係者の賛同を増やし維持したりする方法を常に把握する必要があります。この「賛同」というのは、正確で迅速なレポート、簡素化、ワークアラウンドの削減、単純に仕事において時間のゆとりを増やすなど、測定可能な付加価値を示すことによって得ることができます。データガバナンスを欠いたプロジェクトとは異なり、このようなケースは、初期のころから少しずつ実行する必要があります。ビッグバンを起こそうとしてはいけません。必要に応じて勢いを操るためには、考えは大きく、行動は小さく始める方が良いでしょう。このアプローチは、スクラム方式やかんばん方式でも推奨されているやり方です。

スチュワードシップの確立については、まずは意欲的な従業員が知識を学び、向上することで仕事要件を満たせるようにする必要があります。また、ビジネスモデルの基礎を実践し、それを適切に説明することができ、制約や辞任からイニシアチブを守る立場を貫くような、信頼のおける人物も必要です。データスチュワードになるには、自ら学び自ら律することが求められます。そして必要なスキルを教えてくれるトレーニングや大学のコースなはほとんどないため、以上のような条件が重要なのです。

質問:スケールの大きさに対処する方法は?

回答:私たちの主な課題は、多様性に向き合うことです。私たちのグループは地球上のあらゆる資産に資金提供を行うことを使命としており、現在は23か国における多種多様な製品と資産をカバーする必要があります。これが情報の責任を分散するもう一つの理由であり、これによって会社全体の人々が知識を提供し共有できるようになっています。同時に、幅広い知識を適切かつユーザーフレンドリーな方法で構造化するために一元化されたユニット設定基準があり、組織全体の情報管理活動を調整、誘導することができます。これにより、グループレポートのニーズが、各国の現地の要件と同じグローバルガバナンス構造内で確実に満たされるようになります。これは、拡張性にとって明らかに重要なことと言えるでしょう。そこにあるのは「単一の真実」ではなく、責任ある人々によって適切に運営、保存、認証、管理された事実の多くのバージョンであり、完全な「資産としてのデータ」なのです。

質問:成功の度合いを測る方法は?

回答:私たちの日常生活とビジネスプロセスを情報が結びつける仕組みへの理解が広まると、前の項目で述べた勢いが生じます。これは、最初にはっきりと表れる成功の尺度であると言えます。自分の仕事が他部門にとっても重要であると理解して価値を感じることで、プロジェクトの全体像に対する理解が深まり、個々の業務もはかどるようになります。
情報の品質というのは測定が難しく、多くの場合は感情的な面や、抽象的な要因で判断することが多いものです。物事がより速く正確に行われるようになれば、人々はお互いに信頼関係を築き、新しい挑戦を避けるのではなく協力し合うことに前向きになります。正しい方向性でこのような状態を保てば、企業文化への影響は計り知れません。これは、条件を厳しく管理することによって非常に貴重なものになります。ただし、財務上の要因にも注意を払う必要があります。データガバナンスには莫大なコストがかかる可能性があります。独自のデータに基づいて新たな収入を得るチャンスを見極められるようになれば、投資と付加価値(生産性の向上、ITアプリケーションのコストの削減、売り上げの向上など)のバランスを取ることができるはずです。

質問:データのプライバシーについてはどうなっていますか?

回答: GDPRをはじめとする様々な規則がデータを慎重に扱うことの重要性を強調するようになって以来、データセキュリティとデータプライバシーはより大きなトピックになっています。Axonはこの点でも非常に役立つものであり、データの場所とともに、データを表示し処理する際に気を付けるべき点を確認することができます。特にグループコンテキストでは、財務管理にのみ許可されているデータと、マーケティングや顧客とのコミュニケーションに使用できるデータを区別できることが非常に重要です。

質問:ビジネスにおける価値を上げるために気をつけるべきことは?

回答:トピックが抽象的なプログラムでは、結果を明示することが非常に重要なポイントです。例えば、ビジネスユーザーが知識を構築化する方法、ビジネスやITがデータ資産を発見する方法、データリネージを把握できることなどをビジネスユーザーに示せば、プログラムを継続して使ってもらいやすくなります。以前は技術者やITの専門家に依頼しなければデータの場所を把握することができませんでしたが、透明性を向上させることでビジネス上の価値を大きく引き上げることに成功しています。

資産としてのデータに関する長期的なビジョンを確立する方法の詳細については、こちらウェビナーに登録してご参加ください。


本ブログは2020年8月17日のThomas BrenceによるTo Ensure Data is a Strategic Asset at Deutsche Leasing, Collaboration is Keyの翻訳です。