コロナ禍のデータガバナンス


今、私たち全員が経験している変化の大きさは驚異的です。米国だけでなく世界中が、多方面でコロナウイルスの大流行を食い止めるための対処を迫られています。それだけでなく、経済と地域社会を根本的に再建するためのさらなる財政的、技術的な改革も求められています。経済を動かす組織、例えば銀行や政府、学校、製造業やエネルギー業などは、どのような社会にも不可欠ですが、今こうしたすべての組織が、システムやツール、プロセスを再構築することで、洞察力を高めて明確な根拠に基づくビジネスの意思決定を行うための基盤となる高品質なデータを提供することを迫られています。

データガバナンスは、後知恵であって、少なくとも今は最優先事項ではないと思われるかもしれません。しかし、長きにわたってあらゆる組織に付きまとってきた問題に対処するのに、今ほど良い時期はありません。その問題の共通項は「データ」です。

では次のようなWhat-if(もしも)シナリオを仮定してみましょう。

  • もしも(政治的なことは抜きにして)EUと南米、米国の疫学者が、遺伝子変異の範囲、感染率、持続性を理解するためにウイルス株のデータを共有することで、より優れた公衆衛生システムを設計できるとしたら?
  • もしも刑務所と公衆衛生機関、学校、老人ホームが、重要なデータ要素の定義を標準化することで、脆弱な人々の保護を強化できるとしたら?
  • もしもこうした機関がさらに患者や市民、顧客のID情報を保護することで、データを共有できるとしたら?
  • もしも銀行や他の融資機関がリスク分析モデルを構築することで、失業などの事象をより正確に予測して、不確実な状況で混乱する顧客に役立つ商品を用意できるとしたら?

上記のシナリオに共通して必要なのは、次のような優れたデータ管理能力です。

  • ソース間でデータを識別および定義する機能
  • データを共有するために匿名化、クレンジング、標準化、キュレートする機能
  • さまざまなアプリケーションのデータをプロファイリングして、標準化されたビジネスデータ管理ルールとデータ保護ポリシーを適用する機能
  • 定義されたユーザーの役割と責任を使ってワークフローを設計する機能
  • ガバナンスプロセスを迅速化することで、データ資産が使えるようになるまでの時間を短縮する機能
  • データ、品質、およびポリシーの関係を可視化することでトラブルシューティングを合理化する機能

しかし、今よりも機能が豊富で新しいデータ管理ツールを導入するだけでエンドユーザーのニーズを満たせるとは限りません。データガバナンスの設計とは、こうしたデータ管理機能を「もしも」のシナリオに紐づけるためのインフラストラクチャを設計するということです。では、どうすればこのパンデミックを管理できる効果的でグローバルな疫学的アプローチを設計できるのでしょうか?どうすればハイリスクな患者を保護できるのでしょうか?どうすればこの危機を乗り切るための新しい商品を設計できるのでしょうか?

このような必要に迫られる多くの組織は、サプライチェーンの流れが断たれ、販売モデルは転覆し、予算が大幅にカットされて、かなり受け身の状態になっています。それでも、なぜ今がデータガバナンスに取り組むべき時なのでしょうか?

よくある誤解:

  • データガバナンスは労働集約的で、時間がかかるうえに官僚的で遅い
  • データガバナンスプログラムを立ち上げると、さらに遅くなるかもしれない

むしろその逆です!


現実は:

  • 適切に設計されたデータガバナンスプログラムがあれば、データの監視や使用方法を管理できるようになり、データの価値と汎用性を高めることができます。
  • ビジネスの優先事項に合ったテクノロジーで支えられるように、何に技術投資すべきかを見極めることができます。
  • 効果的なデータガバナンスモデルがあれば、ユーザーの役割、責任、ハンドオフ・ポイントが明確になり、データ管理チームと業務ユーザー間のコミュニケーションが向上します。
  • データ品質のトラブルシューティングやビジネス目的に適したデータを探すために現在費やしている時間と労力を効果的に減らすことができます。

また、業務部門やITのデータスチュワードに権限を与え、データガバナンス協議会を通してフォーラムでコラボレーションできるようにすれば、業務部門間やデータサイロ間のコミュニケーションを促進することができます。これを使わない手はないですよね?

確かに、私たちは変化し続ける市場により機敏に対応し、より俊敏に行動しなければならないという大きなプレッシャーに直面しています。しかし、これは、未熟なツールを使ってきたことや組織文化の結果として長年根付いてしまった弱点を克服することを意味します。同じ問題を同じ方法で何度解決しようとしても、結局は失敗に終わるだけなのです。

データガバナンスを進めるには、範囲は小さくても成功を実証できるような関連性の高いプロジェクトから始めるのが最善策です。測定可能な成果を示し、それを業務指標に紐づけます。Informatica Data Governance Frameworkは、データガバナンスの対象範囲とビジネスにフォーカスした指標を設定し、監視するためのモデルとして役立ちます。

成功の鍵は、最終目標を念頭にプログラムを設計し、小さく始めて、その成功体験を再現しながらプログラムを拡張し、データや業務分野の範囲を広げるにしたがってプロセスや組織を洗練させることです。インフォマティカは、データガバナンスとプライバシーを3つの主要な開発分野としていますが、それはお客様にとっての最優先課題は、インフォマティカにとっての最優先課題であるからです。単に目の前の危機に対処するのではなく、将来も健全かつ強い組織になるための知識とリソースを確保するために、今すぐ(トレーニング、テクノロジー、組織構造、コミュニケーションに)投資しませんか?

またインフォマティカの電子ブック『データガバナンスの再定義』では、データガバナンスのための新しいアプローチの利点を分かりやすく説明しています。ぜひご覧ください。



本記事は「Data Governance in a Time of COVID-19」の抄訳です。