数字で見る「360度ビュー」の効果と事例

顧客はパーソナライズされたストレスのない体験を求めています。

調査によると、消費者の73%が、購入の判断を左右する重要な要因として顧客体験を挙げており、消費者の65%が、優れた顧客体験は優れた広告よりも効果が高いと回答しています。

優れた顧客体験を提供する一部の企業は、市場値に対して107.5%上回る業績を達成していますが、本当に顧客の期待に見合う体験を提供できている企業は多くありません。

2018年、Arvato社が消費者とビジネスリーダーを対象に調査を実施した結果、ビジネスリーダーの84%が「通常」あるいは「常に」優れた顧客サービスを提供できていると回答した一方で、これに同意する消費者は50%をわずかに超える程度であり、「常に」優れたサービスを受けていると回答した消費者は、わずか9%でした。

「うちは適切に顧客に対応できている」と考えている企業も、あらためて見直した方がいいかもしれません。顧客データは部門レベルでは充実していても、全社規模で一貫して管理されたデータを活用できているでしょうか?優れた顧客体験を実現するためには、部門レベルで断片化した顧客データを統合し、組織としてどのように戦略的に顧客データを管理し、共有していくかを再考する必要があります。

顧客と顧客関係の包括的なビュー

あらゆるチャネル、事業、部門、関係者にわたって、顧客の間で行われたすべてのやり取りから得た情報を統合し、顧客のプロファイルを充実させて、「顧客と顧客関係への包括的なビュー」を構築することができれば、あらゆる機会を捉えて顧客体験を向上させることができます。

「顧客と顧客関係への包括的なビュー」とは、充実した信頼できる顧客プロファイルに基づいて、企業にとって最も重要な人、場所、モノの関係を結び付けることで、様々な業務分野の関係者が顧客中心の戦略を効果的に実行できるように見える化して、プロセスを自動化することです。(顧客の360度ビュー)顧客と顧客関係を包括的に管理できる顧客の360度ビューがあれば、特にマーケティング、営業、カスタマーサービスの分野では、大きな改善効果を得ることができます。

例えば、マーケティング部門は、ゼグメント化とパーソナライゼーションを強化し、すべてのチャネルで一貫した顧客対応を実施し、顧客に関連性の高い販促活動を行うことで、コンバージョン率を高めるとともに、顧客関係を長期的に構築していくことができます。

営業部門では、顧客が所有している製品やサービスから過不足を明確に把握して、精度の高いクロスセルやアップセルを提案し、成約率を高めることが可能になります。また、複雑な顧客構造を明確にして販売地域を最適化し、顧客の問題を解決して次の行動へ導くことができるようになります。

カスタマーサービス部門は、初回の問い合わせでの問題解決率を高め、必要以上に顧客を待たせることなく、問い合わせ内容と関連性の高い顧客情報へ迅速にアクセスし、的確に顧客の問題やニーズを把握し、短時間で問題を解決できるようになります。

顧客の360度ビューがもたらす定量的な利益

それでは、360度顧客ビューを活用することで、具体的にどれほどのプラスの効果を得られるのでしょうか?

業界や成熟度によって差はありますが、以下のグラフは、360度顧客ビューを活用することで期待できる平均的な利益を示しています。

例えば、顧客がすでに所有している製品やサービス、資産、やり取りをすべて網羅した信頼できるグループレベルの顧客ビューを使うことで、貴社のアップセル/クロスセルのコンバージョン率が改善すれば、利益率がどれだけ向上するのかは、次の公式を使って試算することができます。

FASTWEB社の事例

Swisscom社の子会社であるFASTWEB社は、イタリア最大の第二種電気通信事業者です。同社は、音声/データサービスとアプリケーションを個人と法人に提供しています。

同社の顧客データは複数のシステムに分散しており、不完全で不備のある重複したデータを断片的に捉えることしかできませんでした。また、質の高いカスタマーサービスを提供することができず、営業部門は補完的なソリューションを提案することが困難でした。レポートの生成には時間がかかり、その信頼性も低いため、経営管理者はKPI(重要業績評価指標)に基づいて事業を進めることに苦労していました。

そこで同社は、顧客エンゲージメントを高め、利益率を向上させるための幅広いデジタル変革プログラムの一環として、顧客を中心とした戦略に着手しました。顧客データ管理を標準化し、全サービス、全チャネルを網羅する顧客と顧客関係の包括的なビューを確立したのです。これにより、同社は以下のことを実現することができました。

• 契約者の契約情報と、さまざまな受注管理システムやSalesforceにあるサービス関連の情報を統合することで、すべての個人顧客とそれぞれの関係(1世帯の利用者数、優先傾向、行動など)を総合的に把握

・顧客がどのチャネルを使用しても、FASTWEB社の担当者はその顧客の利用サービス、請求履歴、サービスに関する問い合わせ、世帯情報を1か所で確認

・パーソナライズした俊敏なカスタマーサービスを提供し、よりプロアクティブかつ効率的に顧客に対応できるようになったことで、顧客離れを3年以内に最大80%削減

・顧客の注文を受けてから有効化されるまでの時間を追跡するレポートを、ほぼリアルタイムに担当者に提供

今後、同社は、さらに非構造化データ(アプリケーションの使用状況、ロケーションサービス、ビデオストリーミングなどに関する情報)を統合することで、売上の増加、利用者あたりの平均売上高、顧客ロイヤリティを確認しながら、さらにパーソナライズしたカスタマーサービスを実現する計画です。

全社レベルで顧客データ管理イニシアチブに取り組むための第一歩

顧客体験は、ビジネスの成功を大きく左右します。現在だけでなく、将来にわたって成功するためには、部門レベルのサイロ化されたイニシアチブではなく、経営幹部の支持を得た全社的な取り組みとして推進しなければなりません。

共通のビジョンと目標の下ですべての関係者の足並みを揃えて、全社レベルで顧客体験イニシアチブを前進させ、顧客と顧客関係の包括的なビューを構築しなければ、真のメリットを手に入れることはできません。そのためには、説得力のある投資対効果検討書を作成し、経営幹部を納得させることが第一歩となります。

ホワイトペーパー「経営幹部も納得の顧客データ管理~360度ビューで顧客エクスペリエンスを高めるためのビジネスケース作成ガイド」では、ビジネス価値に重点を置いた説得力のある投資対効果検討書を作成するための手順について詳しく説明しています。現状を把握するために、IT部門や関連部門にヒアリングすべき質問事項についても具体的に紹介しています。詳しくは、本ホワイトペーパーをダウンロードしてご覧ください。