マスターデータ管理の標準化という「古くて新しい」ガバナンスを成功させる8つのベストプラクティス

マスターデータを統制する難しさ

マスターデータは、ビジネスや組織の運営の中核となるデータドメインであり、取引先や見込み客、製品などのデータは、複数の経路(ソース)から流入し、異なる部門や地域にわたって、非常に多くの人々に利用されます。例えば、サプライヤから資材を購入して製品を製造し、顧客に販売してパートナー経由で納品するという一連の業務フローでは、資材、サプライヤ、製品、顧客、パートナーなどのマスターデータが、様々な部門や関係者、システム間を横断してやり取りされます。

組織全体で一貫して正確なマスターデータを利用することができれば、受注から入金、調達から支払、データ入力から報告までの全てのプロセスの精度と効率性を大幅に改善することができます。しかし、複数の関係者やアプリケーションにわたって、マスターデータの入力や更新、利用方法をルール化して、マスターデータ管理を標準化するのは難しいものです。

本記事では、マスターデータ管理を標準化して統制することで業務を効率化する「マスターデータガバナンス」を実装するために、知っておくべき8つのベストプラクティスについて説明します。

マスターデータガバナンスの8つのベストプラクティス

マスター化すべき属性を明確に定義する

まずは、どのような属性をマスターデータで定義して、組織全体で共通化すべきかを明確にする必要があります。例えば、顧客の名前(氏名または事業名)、住所(出荷先・請求先)、電子メール、電話番号、支払条件、その他業務上不可欠なものは、顧客マスターの属性として定義できます。どういった属性がマスターデータとして不可欠であるかを定義することは重要なステップです。そうでなければ、あまりに多くの属性をマスター化することになり、マスターデータ管理の俊敏性を損なうことになります。

マスターデータの管理ポリシーを決める

次に、内部統制の目的と外部規制へのコンプライアンスのために、どのようなポリシーが必要であるかを定義します。主に、データ品質の維持、データの保管と削除、個人情報や機密データのプライバシー保護、コンプライアンスリスクの対応に関わるポリシーを定義することになります。例えば、総勘定元帳システムに新しいコストセンターをマスター登録できるユーザーと、それを承認するユーザーを分けることは、会計上の不正行為を防止するための職務分掌ポリシーです。

ポリシーを実施するためのルールを決める

ポリシーでは、何を統制したいかを定義し、ルールでは、ポリシーをどのように施行・徹底するかを定義します。例えば、個人情報を使用する前には、顧客の同意を得る必要があるというポリシーに対して、それを徹底させるための3つのルールを作成します。まず始めに、顧客マスターで定義すべき同意属性のルールを決めます。例えば、請求や販促のために使用する、あるいは第三者機関との情報共有に同意するかどうかなどです。次に、これらの同意属性を正しく収集できなければ、顧客マスターに新規顧客を登録して承認できないようにルールを設定します。最後に、登録された顧客データを、請求管理システムや販促システムあるいは第三者に送信する際には、同意属性を必ずチェックするというルールを作成します。このように、ひとつのポリシー要件を満たすために、複数のルールが存在することは珍しくありません。

マスターデータの目録を作成

どのようなマスターデータが、どこにあるのかを把握することは、マスターデータの定義とポリシーに従ってルールを適用する上で重要なことです。マスターデータのカタログ化とは、次のような作業を含みます。

・アプリケーションやデータウェアハウス、データレイクなどのソースに分散するマスターデータのドメインを検出して、マスターデータの目録(カタログ)を作る
・各ソースにあるマスターデータの品質(正確性と完全性)を確認する
・複数ソース間でマスターデータの定義が一貫しているかどうか検証する

例えば、合併・買収の際には、買収先の組織が利用しているマスターデータを理解して、それを自社のマスターデータ定義にマッピングしなければなりません。カタログの自動作成機能を使ってこの作業を効率化できれば、統合コストを削減し、買収によるビジネス価値を高めて、財務報告リスクを軽減することができます。

データフローをマッピングする

ビジネス活動の中で、マスターデータがソース間をどのように流れるかを示すプロセスマッピングを作成します。マスターデータの流入経路だけでなく、さまざまな業務プロセス間をどのように流れているのかを理解することで、データの誤った使用方法やコンプライアンスリスクを回避するために、ルールを組み込む必要があるポイントを明確にすることができます。例えば、医療機関における臨床データの取得方法と利用方法を標準化してポリシーを徹底するためには、臨床データがどこで収集され、どのシステムに送信されて、どの第三者機関と共有されるのかについて理解する必要があります。

マスターデータの標準化に関わるキーパーソンを明確にする

マスターデータの管理プロセスを標準化して、データ品質を維持するためには、それに関わるキーパーソンを明確にする必要があります。次のような人々が、それぞれに責任を持って、マスターデータガバナンスに取り組むことが重要です。

・対象となる分野に精通した業務部門のエキスパート:組織全体で標準化すべきか、あるいは業務プロセスによって一定レベルの閾値を設けるべきかの両方を理解して決定できる人
・データスチュワード:マスターデータの品質の問題を修正する責任を負う人
・IT担当者:データベース、アプリケーション、ビジネスプロセスのアーキテクチャと管理を担当する人
・法務およびセキュリティ担当者:データのプライバシーと保護に責任を負い、組織内の異なる業務機能間の意見の相違を解決する業務横断的なリーダーとなる人

マスターデータ管理のワークフローを設定する

マスターデータの作成依頼から承認、登録、関連システムでの有効化に至るまで、キーパーソンが連携するためのワークフローを作成します。どのようにマスターデータの新規/変更を依頼して、誰が承認するのか、異なる部門に複数の担当者がいる場合にどのように並行してワークフローを実行するのか、最終的にアプリケーションで使えるようにするまでにどういったフローを辿るべきなのかを考慮して、ワークフローを設定します。

マスターデータの品質を評価、測定する

マスターデータが、ポリシーとルールに従って正しく管理され、データ品質を一貫して維持できているかどうかを継続的に測定することが重要です。例えば、アプリケーション内の重複レコードの数、マスターデータの正確性と完全性、暗号化あるいはマスキングされている個人データ属性の数などは、マスターデータ管理の技術的な側面を評価するのに有効な指標です。しかし、先進的な企業の多くは、技術的指標の評価だけに留まらず、さらに業務にどのような成果をもたらしているのかを評価しています。例えば、資材と仕入先マスターのデータ品質によって、どれだけ好条件で調達を交渉できているか、供給が中断するようなリスクを回避できているか、在庫保管コストの削減に貢献しているかなどの業務指標です。

マスターデータガバナンスを支援するテクノロジー

ガバナンスの視点から考えると、マスターデータ管理の実行機能の良し悪しよりも、むしろマスターデータガバナンスを拡張できるテクノロジーかどうかが重要です。例えば、異なるソース間でマスターデータをカタログ化するための接続性、メタデータの自動識別機能、プロセスマッピングとワークフロー定義に欠かせないデータリネージとプロセス管理機能があるかどうかです。

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データガバナンスとデータ管理の関係については、電子ブック「データガバナンスの再定義~ビジネストランスフォーメーションのためのフレームワーク」を参考にしてください。


本ブログは2月10日のMaster Data Governance: 8 Best Practicesの翻訳です。