マルチクラウド時代のシステム運用を劇的に変える「iPaaS」

iPaaSとは?

iPaaSとは、インテグレーション・プラットフォーム・アズ・ア・サービスの略で、簡単に言うと、多種多様なデータ統合やアプリケーション連携を、オンプレミスで開発するのではなく、「クラウドサービス」としてベンダーが提供する統合プラットフォームで実現する新しいデータ/アプリケーション連携を指します。

これまでのデータ連携は、異なるデータソースにあるデータをETLツールを使うことで実現されてきました。また、異なるアプリケーション間の接続を個別に開発してピアー・ツ・ピアで接続したり、あるいはESB(エンタープライズ・サービス・バス)という共通のプラットフォームにつなげることで相互接続されてきました。

ところが、エンタープライズソフトウェアの分野にクラウドが普及し始めて以来、長年使っている基幹システムはオンプレミスで運用しつつも、顧客サービスや営業支援、人事・経理などの非競争領域の業務システムを順次クラウドへ移行するようになりました。そして、データとアプリケーションがオンプレミスと複数のクラウドに混在して、その関係はスパゲティ状態に陥るようになってしまったのです。また、ビッグデータからインサイトを手に入れて、業務の効率化や新しいビジネスモデルを創造しようという思いはあっても、従来のやり方では、テクノロジーの変化のスピードと膨大なデータ量に耐えきれなくなってきました。

iPaaSはこれまでのデータ連携と何が違う?

オンプレミスとクラウドにデータやアプリケーションが混在するハイブリッド環境における連携の問題を解決して、スピードと柔軟性、拡張性を提供してくれるのがiPaaSです。iPaaSというクラウド上のプラットフォームに接続すればよいため、個別連携の必要がなくなり、数日から数週間という非常に短い期間でビジネスにつなげることができます。

iPaaSには、データ統合、アプリケーション/プロセスの連携のためのAPIなど、統合に必要なすべてのツールが備わっています。プログラムをコーディングしなくても、データとプロセスのマッピングツールを使い、フローチャート上で部品を組み合わせるだけで、データの抽出からデータ形式の変換、縦横変換などのレイアウト変更、関数を利用した加工やマスキングなど、さまざまなデータ統合処理を自動化し、旧システムと新しいアプリケーションを簡単に連携させることができます。

またiPaaSには、SalesforceやAWSなど、ありとあらゆるクラウドアプリケーション同士を接続するためのコネクターがあらかじめ用意されているので、連携を一から構築しなくても、複数のクラウド連携を簡単に実現でき、将来的なシステム変更や変化に柔軟に対応することができます。

さらに最先端のiPaaS製品には、データを統合するハブ機能とともに、取引先とのB2B接続を可能にするクラウドB2B、データガバナンス、IoTやソーシャルといった、エンドツーエンドのデータ管理機能が備わっています。

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iPaaS活用のメリット

iPaaSは、データ統合プラットフォームをクラウドサービスとして利用できる点において、従来の統合・連携アプリケーションと決定的に異なります。つまり、データ統合やアプリケーション連携のためのハードウェアやソフトウェア、技術、アップグレードや保守管理を自社で抱える必要がなく、将来的にデータの量やデータソースの数、アプリケーションの数がどれだけ増えても、必要な分だけいくらでも拡張できて、しかも社内のリソースの制約を受けることはありません。また、導入や変更に伴うインフラコストを考えると、従来のミドルウェアやアプリケーション統合管理に比べて圧倒的に安いのがメリットです。

あらゆる業界において多くの企業が使用しているデータ統合の仕組みを、すぐに利用できるだけでなく、常に最新のテクノロジーを使い続けることができるのも、大きなメリットになります。パフォーマンスの点においても、最先端かつ高性能なコンピューティングリソースを他社と共有することで、プライベートクラウドで利用するよりもはるかに低コストで利用することができるのは、マルチテナントならではの効果です。

また、データ統合を司るエンジンをファイアーウォールの内側に置いて、クラウド上には統合のために必要な設定情報だけを保持し、実データはクラウド環境を経由することなく、対象のアプリケーション間で直接連携させることができます。もちろん、データは自動的に暗号化されます。さらに、パフォーマンスにおいても、統合エンジンを複数拡張して冗長性を担保し、グリッド構成を取ることで処理を分散させて、リニアに処理性能を向上させることが可能です。

構成した連携のオーナーシップは、ユーザー側にあります。誰が実行でき、どのくらいの頻度でいつ実行するのか。処理の結果はどうなったのかなど、データ統合やアプリケーション連携に関わる全ての状況を、特別なアプリケーションをインストールしなくても、ブラウザーからすぐに確認することができます。

クラウドに踏み出せないジレンマ

ここまで、iPaaSで何が実現でき、どのようなメリットがあるかについて述べました。しかし、いざ実際に導入するとなると、セキュリティやパフォーマンスの問題から、安心できるiPaaSベンダーを選ぶのが難しく、一歩先へ踏み出せないというジレンマがあるかと思います。

もしもデータ連携に不具合があった場合、データが漏洩した場合、あるいはサービスがストップしてしまった場合に、関係者から真っ先に責められるのはベンダーではなく、自分たちであるという強い責任感があるのではないでしょうか。不具合なく、遅れることなく、きちんと動いて当たり前の文化で育った私たちは、クオリティと信頼性を重視するあまりに、オンプレミスで自社開発することから離れられず、クラウドでしか手に入らないスピードと柔軟性と拡張性のメリットを活かしきれないのかもしれません。

どこから手をつけるべきか?

経済産業省は、「2025年の崖」として、国内企業のシステムの在り方について警鐘を鳴らしています。かつては、自社の業務にぴったり合うような基幹システムを、ベンダー任せにウォーターフォール型で開発して作り込んできました。しかし、国内大手企業の2割、全体の4割の基幹システムがすでに老朽化・ブラックホール化しており、今ではその維持管理のためにITリソースの8割以上が消費されています。ただでさえ少子高齢化で人材が不足している中で、ほとんどのリソースをレガシーシステムにとられてしまい、新しいテクノロジーを活用した競争力の強化、新しい価値創造のためのDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む余力は、2割しか残されていません。5Gが本格的に実用化・普及すれば、さらにデータのトラフィック量は増大して、窮地に追い込まれることになります。既存リソースの制約が厳しい中で、いかにビジネスを変革し、どのようにデータを活用して、DXを進めればよいのかという具体的な方法を模索している企業が多いのが現状です。

レガシーシステムを刷新するのには、数年~数十年単位の時間と数億~数百億円単位のコストがかかります。また、機密性の高いシステム、業界の規制要件によってクラウド化できないシステム、競争領域の業務のために作り込んだシステムは、どうしてもオンプレミスに残ってしまいます。こうしたDXの過渡期に、オンプレミスとクラウドが混在するハイブリッド環境で、データとアプリケーションをすばやくシームレスに連携させるiPaaSの統合プラットフォームを使うことは、今できる最優先のイニシアチブだと言えます。

最後に

次々と誕生する新しいテクノロジーに追従し、迅速にビジネスを変革するために、今後はさらに多くの業務分野でクラウドサービスを活用することになるでしょう。「オンプレミスで出来ることをクラウドでも出来るなら、クラウドでやるべき」というマインドセットに転換する時が来ています。既存システムの遺産を整理し、アジャイルな開発手法とマイクロサービスを使って、要件を細かい単位で定義して、数分から数日という短期間で新しいサービスを実装して、シームレスかつ迅速な連携を実現するには、iPaaSが不可欠な選択肢だと言えます。

インフォマティカは、Informatica Intelligent Cloud Services(IICS)をiPaaSとして提供しています。IICSについて詳しくはこちらの特設サイトをご覧ください。30日間の無料トライアルもご利用いただけます。

また、30分でわかるオンラインセミナーでは、IICSを使ったデータ統合とアプリケーション連携の様子をデモでご紹介しています。複雑な要件を実現できるかどうか試してみたいという皆様には、毎月ハンズオンセミナーを開催していますので、ぜひご参加ください。