データ連携を行うメリットと連携時に陥りやすい罠とは?

最終公開日 : Dec 12, 2022 |
インフォマティカ編集部
インフォマティカ編集部

企業の情報システムが複雑化するにつれ、データは複数のシステムやアプリケーションに分散され、どこに何が存在しているのか分からない、データ形式が異なっていて統合することができないといった状況に陥りがちです。データの価値は分析を行ってこそ初めて発揮するため、このような状況では、データの価値は無きに等しいものとなってしまいます。

そこで、必要になるのがシンプルなデータ連携の仕組みです。今回は、データ連携を実施したいと考えている担当者様向けに、データ連携で何が実現できるのか、連携するメリットはどこにあるのか、データ連携を行うときに陥りやすい罠など、事前に知っておくべきポイントをご紹介します。

 

データ連携とは?

企業が持っている大量のデータを資産として有効活用することの重要性がこれまで以上に増してきています。この大量のデータを有効に活用するためには、そのデータを連携する必要があります。データ連携とは、アプリケーション、システム、格納先がそれぞれ異なるデータを、垣根を超えて共有・活用すること、またはそのための技術・プロセスのことです。データ連携をする際には通常、データの形式を統一する必要があります。

クラウドやビッグデータの利用が当たり前になった今、どのようにデータ連携を実現させ、集まったデータを有効活用させれば良いかが大きな課題になっています。

 

データ連携を行うメリット

企業の複数の情報システムが互いに孤立し分散化してしまっている状況を「サイロ化」といいます。サイロ化が進むと、欲しいデータの所在が分からない、見つかってもデータの形式が異なっていてそれらを組み合わせて活用することができないといった問題が出てきます。データ連携はこうした問題を解決する手段となります。以下、データ連携を行うメリットをみてみましょう。

 

◆分散化されてしまったデータの統合

データ連携を行えば、サイロ化によって部署やシステムごとに散在するデータを、簡単に組み合わせて活用できるようになります。たとえば複数のアプリケーションに散在する製品・取引先マスターデータを連携することで、営業効率を高め、開発コストを削減することができるかもしれません。

さらに多くのデータを集め、統合すれば、よりビジネスに貢献するインサイトを手に入れることできるでしょう。

 

◆データ統合による見える化

データが統合されることでさまざまな状況把握が容易になります。たとえば販売データであれば、各店舗の来店者数、客属性、店内の滞在動態などのデータを見える化(可視化)することが可能です。他にも物品の流通経路を生産から最終消費まで見える化し、全段階で追跡可能にするといったことをすることで、バリューチェーンの全体最適化を図るという活用方法も考えられます。分析アプリケーションなどと組み合わせることによっても、新たな見える化を実現することができるでしょう。

 

◆情報管理のコスト削減

サイロ化したソースシステムからデータを収集したり、連携したりするには、手間やコストがかかります。費用を抑える場合は、手作業でデータを汎用性のある形式に加工し直して、再入力することになりますし、自社の環境に合わせたデータ連携を行おうとした場合、アプリケーション開発を外部のソフトウェアベンダーなどに依頼することになるかもしれません。しかし、近年充実してきているクラウド型のデータ連携ソリューションを活用することで、こうした作業に費やすコストや手間の削減、時間短縮、品質の向上を実現することができます。加えて、クラウド型のサービスであれば、オンプレミスと比較し、サーバーやハードウェアの選定といったインフラ面のコストが月額費用に含まれているため、手軽に導入することができます。

 

データ連携を行う方法

データ連携を行うにはいくつか異なる方法があります。中でも現在、主流となっているのは、「データ連携基盤」を構築して、データを連携させる際は必ずこのシステムを経由させる方法です。このデータ連携基盤を構築する際に便利なのがデータ連携ツールです。ここでは、よく使用されるETLというツールの特徴をみてみましょう。

 

◆ETLの特徴

ETLとは複数の情報システム内のデータを抽出(Extract)、変換(Transform)、書き出し(Load)というプロセスを経ることで分析・加工しやすい状態にまとめる処理、およびそのための製品や技術のことです。処理したデータはDWHなどにまとめられます。

 

ETLの目的はアプリケーションやデータベースなどさまざまなシステム間をまたぐデータの統合です。あらゆる形式のデータに対して抽出・変換・書き出しという処理を行い、その塊をDWHに送り込む(集約する)イメージです。データ変換もフォーマットやコードの変換、クレンジング、異なるソースデータの結合、ターゲットに合わせた集計など、大量データを対象とする複雑な処理が必要となります。また、データの形式、ビジネス上の意味、品質といったメタデータ管理を行うことが非常に重要です。

連携方法にはP2P(ピア・ツー・ピア)型とハブ&スポーク型がありますが昨今ハブ&スポーク型がトレンドとなりつつあります。ハブ&スポーク型は、大きなストレージを真ん中に置き、個々のシステムはそのストレージを介してデータをやり取りすることで、システム間を疎結合化し、データ連携の自由度を高めようとするモデルです。また、ストレージを介してのやり取りとなるためプログラムコードがスパゲッティ状態になるのを防ぐことができます。

 

データ連携時に陥りやすい罠とは?

データ連携には多くのメリットがあるものの、目的が不明確な状況で行うことにより、次のような状況に陥ることがあります。

 

◆連携プログラムのスパゲッティ化

データ連携を行うときには、データ連携基盤やデータ連携ツールを使わない選択肢もあります。
たとえば、TCP/IPを用いたファイル転送はよく選ばれる手法です。データを連携させたいシステムやアプリケーションの仕様に合わせて、ソフトウェアベンダーに依頼して連携プログラムをスクラッチ開発するといった方法もあります。

しかし、このやり方は、プロジェクトごとにフレームワークや開発言語が異なっていたり、仕様変更に伴って細かい変更が必要になったりすることで属人化が進んでいく傾向があります。特にP2P(ピア・ツー・ピア)型のデータ連携を複雑に張り巡らせていくのはリスクが大きいといえるでしょう。徐々に連携ロジックがブラックボックスの中に入り込み、データ連携のためのアプリケーションの扱いも難しくなっていって、いわゆるスパゲッティ化と呼ばれる状況に陥りがちです。

 

◆データ連携システムが連携したいサービスと連携できない場合がある

データ連携システムがスパゲッティ化した状態だと何が起きるのでしょうか。よくあるのは、新しく連携したいサービスが出てきたときにデータ連携ができないという事態に悩まされるケースです。新規の統合案件に対応しなければならないのにデータ連携ができない、その問題を解決するのに開発コストが増大していくことも問題です。
データ同士が依存し合う密結合の弊害として、新規機能の追加、変更などが難しくなりがちです。

これに対し、データ連携基盤を設け、ハブ&スポーク型のデータ連携を採用すると、スパゲッティ化から脱却し、アプリケーション間の依存性を下げて、柔軟な連携ができるようになります。つまり、最初から新規アプリケーションやシステムを加えることを想定したデータ連携システムを構築することが重要です。

 

◆オンプレミスとクラウド間でのデータ連携が複雑化してしまう

もう1点、問題になりやすいのがオンプレミスとクラウド間でのデータ連携です。クラウドサービスが普及するほど、データの分散化はさらに加速されていきます。多くの企業では、オンプレミスにおいて新旧のシステムが混在している上に、さらにクラウドサービスも加わるということが常態化しています。

こうした既存の情報システムとクラウドサービスの連携や、トータルなデータ管理を行うのは簡単なことではありません。特にクラウドで扱うデータに関してはセキュリティ対策に気を配ることも課題となります。このように複雑化したデータ連携に対応するにはやはり、それを想定したデータ連携基盤、さらにはもっと柔軟なシステム環境を整えることが必要となるでしょう。

 

データ連携のための解決策は?

インフォマティカでは、多種多様なデータを高度なレベルで連携可能にする「データ連携クラウドソリューション」を用意しています。これは大規模なシステムやさまざまなアプリケーションのデータの取得、変換、加工・集計、保護といった一連の過程をトータルに支援するシステム環境です。通常のデータ連携だけではなく、集約したデータを分析アプリケーションへ受け渡して、新たな価値あるデータを得ることも容易に実現できます。

Intelligent Data Management Cloud」は、クラウドやオンプレミス環境のデータ連携・同期を一括処理する高性能なクラウドデータ統合ソリューションです。 業務ユーザーがセルフサービスで使える操作性を提供し、ビジネス環境の素早い変化やビジネスプロセスの変化に対応、さらにクラウドオンプレミスをつなぐハイブリッドアーキテクチャーを採用することで、オンプレミスとクラウド間をセキュアに接続します。たとえばSalesforceやWorkdayなどのクラウドアプリケーションに入力されたリアルタイムのデータを、OracleやSAPといったオンプレミスに存在するデータソースと簡単に統合できます。

また、インフォマティカのデータ統合ツールである「Informatica Data Integration Hub」は密結合から疎結合への転換で、複雑化したデータ連携を大幅にシンプル化することが可能です。データ連携インタフェースの無軌道な増殖と複雑化の問題を抜本的に解決し、統制が困難だったデータ連携手法・開発の標準化と統制強化を実現します。

企業が本当に必要とするシンプルで使いやすいデータ連携、それを実現するために、インフォマティカが提供するソリューションをぜひご活用ください。

 

Intelligent Data Management Cloudとは

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First Published: Apr 05, 2018