ビッグデータ分析プロジェクトの実態(4):活用テクノロジー

ビッグデータ分析プロジェクトの実態:マーケティングにおけるデータ活用こんにちは。インフォマティカ編集部です。1月よりご紹介している自社のビッグデータ分析基盤導入プロジェクト紹介シリーズ第5弾です。今回はビッグデータ分析を実現するにあたってどういったテクノロジー、マーケティングツールを活用しているかをご紹介いたします。

マーケティングオペレーションをしている人たちの話を聞くと、多くの方は「マーケティングはテクノロジーの話ではない」と言います。しかしビッグデータマーケティングでは“テクノロジー”が最も重要になってくると言っても過言ではありません。もちろん考え方やアプローチ、戦略も重要ではありますが、ビッグデータを有効に活用しようと考えると“テクノロジー”が必要不可欠です。

現在のマーケティングソリューションを見ると全てを一つで実現するような技術は存在しないため、各社それぞれの目的に合わせて必要となるソリューションを揃え、活用する必要があります。揃えたテクノロジーを全て連携させることを考えると少し怯んでしまうかもしれませんが、恐れる必要はありません。実際に弊社のプロジェクトは自社内で小さなチームを構成して導入まで実現しています。また、前回のブログでもお伝えした通り、“ビッグデータ”といっても実際に扱うデータが膨大であるかどうかはあまり重要ではありません。我々の扱うデータ量は他社と比較しても決して多い方ではないと思いますが、それでもビッグデータのアプローチを取って分析基盤を構築することを選択しています。

それでは我々が実際に活用しているテクノロジースタックをご紹介していきましょう。

 

インフォマティカのマーケティング部門として採用したテクノロジースタック

 

デジタルマーケティングの3本の柱

B2Bのマーケティング部門でほぼ必ず扱うであろう3つのコアアプリケーション、それがCRM、Webアナリティクス、そしてマーケティングオートメーションです。これら3つのアプリケーションで会社の利益を生むプロセスを作り、自動化し、アクティビティをトラックしていきます。その3本柱に我々が選んだ3つの技術が以下です。

  • Adobe Analytics(Webアナリティクス)

Webアナリティクスを使うことで、ホームページへの訪問者をトラックします。Google Analyticsも非常に好きだったのですが、我々の目的を実現するには少し足りない部分があると感じ、技術的にも非常にリッチであり、他でも活用しているAdobeベースのウェブ配信環境とも相性がいいことから、Adobe Analyticsを選択しました。レポートを作成するための初期設定も比較的簡単で、技術者ではないメンバーでも構築することができました。

  • Marketo(マーケティングオートメーション)

データベースに存在する訪問者のトラッキングや、メールやナーチャーフローの構築を実施するテクノロジーにはMarketoを選択しました。過去にはEloquaを活用していましたが、利用のしやすさからMarketoへの移行を決めています。APIの部分が更に強化されるといいなと思っていますが、今後改善していくと考えています。

  • Salesforce CRM

営業がフォローしている商談をトラックするツールとしては、多くの会社も利用しているSalesforceを活用しています。Salesforceは多くの開発者と更には連携されたエコシステムを持っています。また多額の投資をAPIの構築に費やしていることから、業界では圧倒的に強く使いやすいプラットフォームを提供しています。

この3つのアプリケーションを柱としてマーケティングオペレーションを行っていますが、これだけでは十分ではなく、別の技術も必要になってきます。またこのようにアプリケーションが分かれていることによって、アプリケーションをうまく連携・同期するテクノロジーも非常に重要になってきます。

 

ビッグデータ マネジメント

ビッグデータマーケティングとは、データを如何にビジネスにおける戦略的資産として扱うことかと思います。しかし多くのマーケティング部門は、まず一番面白そうな可視化ツールやダッシュボードに飛びつく傾向にあります。これは表面的なものにとらわれているだけでなく、プロジェクトを進める上で非常に危険な進み方です。何故ならダッシュボードで見るデータを求められる形で集め、整え、タグし、守ることができなければ全く無意味なダッシュボードになってしまうからです。

ここでは、データの準備、運用、管理を実際に行うコアのデータアーキテクチャ製品にはどういったツールを選択したのかをご紹介します。

  • Dynamic Tab Management

データレイヤの心臓となるのがAdobe Experience Managerに無償でついてくる非常にパワフルなツール、Dynamic Tab Management(DTM)です。DTMは基本的にはJava Script、タグ、トラッキングコードのCMSの様なものです。我々マーケターが全てのマーケティングアプリケーションの実行やデータ収集管理を一つのWebダッシュボードから出来るようにしてくれます。まず何をしようとしているのかビジネスロジックを考え、その後DTMを使ってのタグ付けやどのデータを集めて、どこへ配信するかを考えます。全てはルールベースで我々が選択する条件やイベント等に応じて運用されます。

  • データレイク(&データウェアハウス)

我々はSalesforce、Marketo、およびAdobe Analyticsからくるデータを全てHadoop(5-7ノード)に集めています。データレイクとは何か、何故Hadoopの持つ“スキーマ・オン・リード(Schema on Read)”が重要なのか、については過去のブログで紹介していますので割愛しますが、全てのデータはこのデータレイクに非構造の状態で存在しています。既に多くの企業がビッグデータマーケティング基盤で使うHadoopをAmazon Web ServiceやMicrosoft Azure等のパブリッククラウドにホストしています。しかし我々は自社のデータセンターにあるVMWare上でホストすることを選択しました。何が正しい選択かは、自社で保持するin-houseのインフラ基盤やIT部門のスキルセット、コストの状況に応じて変わってきます。我々にとっては、自社の環境を使う事が一番現実的と判断しました。恐らくどこかのタイミングでクラウドに移行する日がくるかもしれませんが、現在は既存のVMWare環境で上手く動作しています。

  • エンタープライズ・データウェアハウス

我々は全ての構造化データを集めているデータウェアハウスを持っています。そこでこれをそのまま活用することでビッグデータマーケティングのプログラムを最短で回せる様にしました。現時点では、MarketoやSalesforceから直接データをデータレイクに投入するのではなく、このデータウェアハウスに集まったデータを連携しています。勿論これはあるべき姿ではないのですが、プロジェクトを最短で実行するために近道な方法を選択しています。将来的にはこのステップと環境を無くし、直接必要なタイミングで必要なシステムからリアルタイムに収集出来る手法に変えていく予定です。

  • インフォマティカのデータマネージメント製品

自社のデータマネージメント製品も活用して、データ管理の自動化とデータ品質管理を実施しています。このブログは自社製品の営業活動が目的ではないので、製品ごとの特長やメリットなどを説明するのはやめておきますが、もしご興味がありましたらInformatica Big Data Managementソリューションのページから詳細をご確認ください。

簡単にお伝えすると、以下のソリューションを活用しています。

–   Data Integration:各種システムのデータを統合
–   Data Quality:データガバナンスの確立とデータ品質の自動管理
–   Big Data Relationship Management:データレイク内の関連性を顕在化
–   MDM:アカウントや顧客のマスター管理

これらの製品知識が自社にあったことから、他社と比較してプロジェクトが非常に進みやすく短期間で実現できたという事実はありますが、非常に使いやすい製品なので、皆さんも比較的簡単に始められることと思います。

 

エンリッチメント

自社で集められるデータのみに頼るのではなく、第三者のパートナーから提供されるデータも活用しています。集めてきたデータを単純に分析するのではなく、様々な技術やデータを活用することでより価値を高めることができます。

  • Demandbase

Demandbaseを活用してリバースIPルックアップを実施し、どこの会社から自社サイトへ訪問があったのかや、その会社の規模、また業界情報を入手しています。アカウントベースマーケティングを実施する上で活用していますが、我々のサイト上でのカスタマーエクスペリエンス向上にも役立っています。例えば、訪問者の業種に応じてパーソナライズ化したサイトを表示するといったことも行っています。Demandbaseデータは直接Adobe AnalyticsやMarketoのシステムに連携され、その後データレイクにも連携されます。

  • Dun & Bradstreet

皆さまもよくご存知のDUNSナンバーを提供するDun & Bradstreetの情報も活用し、より信頼性の高い企業データにしています。MDM製品とネイティブで連携することから非常に簡単に活用できています。

  • Rio SEO

Rio SEOはローカル検索マーケティングオートメーションを得意とする技術ですが、我々は少し違う使い方をしています。我々の製品を購入している部門や関係者を明確にし、口コミなどを提供しているインフルエンサー情報をトラックします。我々のホームページ訪問者の5%以上のトラフィックが口コミからきている事が分かっています。これは非常に高いエンゲージ率のトラフィックであり、そのうちのいくつの契約者には関連性も見受けられるからです。この口コミ情報は、サイトのURLにRIOコードを付ける事で訪問者を特定できる様にし、例えば訪問者Aが別の人にリンクをシェアし、シェアされた人(訪問者B)が新たに訪問すると、訪問者Aが訪問者Bのインフルエンサーとしてトラックされます。以下のバブルチャートは、誰が重要なインフルエンサーとなっているかを示しています。

 

予測分析

先のブログでもお伝えした通り、プロスペクトのリードを予測分析を使ってスコアリングし、購入可能性の高い人を優先度を上げてフォローする仕組みを作っています。実際にスコアAのプロスペクトはその他のプロスペクトより6倍の可能性で実際の商談が生まれています。

  • Lattice Engine

Lattice Engineは、実際に弊社と過去に取引した会社やプロスペクトの情報を分析し、それに似た企業や状況、担当情報を分析しスコアリングをします。今は2つのモデルを採用していて、一つはオンプレミスライセンス、もう一つがクラウド製品の購入者別の分析です。全てのリードは2つのいずれのモデルでも分析を行い結果を可視化します。

 

ビッグデータの可視化

ダッシュボードはマーケターがビッグデータマーケティングを行う際に、毎回見る画面です。データの可視化は最後のマイルであり、ジャーニーではないととらえています。可視化ツールやBIツールが何であれ、我々は連携することができます。

  • Tableau

Tableau製品はテクニカルではないユーザーにも非常にわかりやすく、使いこなすことが可能です。基本的にはTableauによって簡単に複数かつ大量のデータを一つのダッシュボードで見える様な仕組みをつくる事ができました。

 

ざっとお伝えしてきましたが上記ソリューションが我々のBig Data Marketing Operationを支えているテクノロジースタックです。あなたの会社でどういうテクノロジー群を採用するかは、予算やリソーススキル、データや既存インフラなど様々な状況に応じて選択していくべきです。ビッグデータマーケティング基盤の構築などを検討している方に少しでも参考になる情報がお届けできていれば幸いです。

 


※本ページの内容は2016年2月12日更新のUS Blog の抄訳です。

Naked Marketing: The Big Data Marketing Technology Stack

著者:マーケティングエキスパート Franz Aman


【ビッグデータ分析プロジェクトシリーズ】

ビッグデータをフル活用したマーケティング分析事例 –個々のデータをつなぎ合わせて情報資産に-

ビッグデータ分析 プロジェクトの実態 (1):マーケティングにおけるデータ活用

ビッグデータ分析プロジェクトの実態 (2):重要な5つの基礎

ビッグデータ分析プロジェクトの実態 (3):ビジネスケース

ビッグデータ分析プロジェクトの実態(4):活用テクノロジー

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