MDMの本質とその効能とは?

voiceofcustomer-300x200ここ数年、マスターデータマネジメント(以下MDM)に関する検討・導入の数が飛躍的に増えています。業界も製造・流通/サービス・金融など幅広く、対象マスターも商品(製品)、顧客、仕入先、組織、従業員など複数ドメインにわたります。では、各社はどのような効果を期待してMDMを導入しているのでしょうか。その具体的な効能を見ていきましょう。

効能1:方言の翻訳
異なるコード体系(方言)をもつアプリケーション間のデータ連携におけるコード変換(翻訳・標準語化)を自動化。P2P連携で個別のコード変換機能を開発するのではなく、MDMハブ上の相互変換表(クロスリファレンス)に集約・一元管理することで開発・運用コストを削減。

効能2:業務効率化
マスターデータメンテナンス機能の集約や、アプリケーション間のマスター同期による二重入力排除などメンテナンス業務の効率化。

これら①②は、「MDM」というと多くの方が想起されるものであり、両者ともコスト削減に繋がる効能です。が、これだけでは役不足です。MDMにはコスト削減だけではなく、サービスレベルの向上や収益向上をもたらす更なる効能があります。

効能3:信頼性向上
マスターデータを一元的に管理し、データの標準化や重複レコードの排除などによって品質を向上・維持することで、アプリケーション横断で一貫性のある品質の高い包括的なゴールデンマスター(Single Version of the Truth)を管理可能に。データガバナンスを強化し、「どのデータが最新で正しいのかわからない」という状況を打破。

効能4:情報活用高度化
MDMで統合管理された各アプリケーションのオリジナルコード(クロスリファレンス)を利用し、必要に応じてトランザクションデータやインタラクションデータを紐づけた360°ビューを供給可能に。現場の業務ユーザーに、より包括的でリッチなデータを供給。

この④が最も重要で、ビジネス価値の創出に直結する効能です。MDMの本質は、複数のアプリケーションやシステムごとにマスターデータが散在し、データがサイロ化している複雑なIT環境において、既存アプリケーションはそのままに、マスターデータをつなぎ合わせることで、必要なすべてのデータへのアクセスを可能にすることにあるのです。

例えば、顧客マスターを中心に、ERPから購買履歴を、CRMから商談状況を、コールセンターシステムから問合せ履歴を、ECサイトからWebログを、ソーシャルからポストを紐づけて、ひとつのポータル画面に集約して業務ユーザーに提供、営業力・マーケティングの強化や顧客体験価値の向上を実現することも可能になります。

上記のような複数事業・マルチチャネル横断での顧客情報の統合以外にも、グローバルサプライチェーン最適化や分析高度化のための製品情報の統合、M&Aに伴うアプリケーション統合など、MDMを導入する企業のテーマは様々です。が、共通するのは、いずれもコスト削減だけではなく、業務部門に対して信頼できる包括的なデータを供給することで、ビジネス価値を創出することをゴールに設定しています。

データマネジメントという山脈の最高峰であるMDMは、プロジェクトの難度も高く、大きな投資も必要になりますが、それ以上のリターンを見込める強力な施策です。「マスターデータの統合」はあくまで手段であって目的ではありません。マスターデータの統合を検討される際には、MDMの本質・効能を踏まえ、「何のために統合し、どのようなビジネス効果を期待していくら投資するのか」というROIを整理してみてください。